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週替わり日記2008 その1 H.T.の場合 [週替わり日記(2007-2008)]

 はじめまして。2008年度のLL.M. に在籍するH.T.と申します。週替わり日記といいつつ、授業等多忙でなかなか更新ができず、早くも11月になってしまいました。
 ナッシュビルに7月中旬に到着し、早くも4ヶ月が経過しました。7月中旬からはサマースクール、8月下旬からは秋学期で英語漬けの毎日を送っているせいか、日々少しずつ会話やリスニング能力が上達していると感じています。

1.2008年度のLL.M.の状況

 まず2008年度のLL.M.の状況ですが、2007年度よりも人数が増えて、LL.M.は合計26人になりました。出身地は日本人(2人)のほか中国、韓国、インド、ドイツ、フランス、スウェーデン、ベルギー、ポーランド、リベリア、アメリカとバラエティに富んでいます。多くの学生が、LL.M.の人数が少ないこと、ビジネスローを勉強したいという理由で(恋人や配偶者が近くにいるという理由の人もいます)バンダービルトを選んでいるようです。日本人が2人と少ないので、必然的に他の国から来た学生と接する機会が多く、英語の上達という点ではとてもよい環境です。

2.週間スケジュール

3.授業の様子

 LL.M.は論文を書かず通常のクラスのみを受講する場合(Course Track)と、論文を書く場合(Thesis Track)で卒業要件が少し異なりますが、私は通常のクラスのみを受講する予定ですので、卒業に必要な単位数は23単位です。今学期はできるだけ多めに単位を取得しようと思いましたので、4科目13単位を登録しました。登録した単位数自体は日本の大学に比べると少ないですが、各科目で必要な勉強量ついては私の大学時代とは比べ物にならないくらいハードです。特に月曜日から水曜日までは、会社法(Corporation)と契約法(Contract)が毎日あり、授業の予習以外のことはほとんど何もできない状態です。契約法(Contract)については、アメリカは日本と違い、コモンローを採用しているので、ケース(判例)がそのままルールになるのですが、毎日の授業で扱う判例は3~4つあり、完璧な予習をするためには、一日あたり概ね6~7時間の勉強時間が必要だと思っています(いまだ実現していません)。契約法の授業はJDの1L(1年生)科目であり、JDの学生にとっては、1Lの成績が就職先等を決めるときに大きな要素になるとのことで、JDの学生は非常に積極的に授業に参加しています(よい発言には教授が加点しているとのことです)。一方、会社法(Corporation)は、私がこちらで特に勉強したいと思っていた科目ですが、JDでは2L(2年生)以上の選択科目ですので、こちらの授業の雰囲気はとても落ち着いています。授業は理解できない部分もありますが、担当しているThomas教授が毎週水曜日の昼食時に自由参加の質問会を開いてくださるので、毎週参加し、授業で分からない部分や、興味のあることを聞くようにしています。バンダービルトロースクールでは、教授との距離は聞いていた以上に近いので、何か興味がある分野の勉強を深めたい方には向いているのではないかと思います(LL.M.の学生の中にもゼミを受講したり論文を書いたりする人が多くいます)。また、卒業単位には換算されませんが、今年も例年どおり、LL.M.の学生を対象とした英語のクラス(週2回、合計3時間)が開講されています。LL.M.の学生のうち希望者のみが参加しており、我々の希望に応じて講師がさまざまな教材を用意してくれます。特に自分一人ではなかなか訓練しにくい発音やアクセントの練習のほか、スラングなども教えてもらっており、授業と言いつつも、息抜きに近い感覚で楽しく授業を受けています。

4.学校外生活

 授業はかなりハードですが、週末など、授業がないときにもいろいろと予定が入りますので、かなり充実した毎日をすごしていると感じています。バンダービルト大学では、授業以外にもイベントがたくさんあり、毎週金曜日の夕方にロースクールが主催しているブラックエーカー(ロースクールのロビーや中庭でビールやワイン、スナックなどが振舞われるパーティー)だけでなく、ISSS(インターナショナルステューデントセンター)主催の各種イベントも頻繁に開催されています。その中の1つに、ファーストフレンドプログラムという、ナッシュビル近郊在住の外国に興味がある方を紹介してくれるプログラムがあり、私はナッシュビルに住む若いご夫婦を紹介していただきました。そのご夫婦は、とても日本に興味があるとのことで、特に日本の映画や音楽、アニメなどに造詣が深く、私も話についていけないほどです。日本にいるときにはアメリカ南部といってもピンときませんでしたが、こんな地球の裏側にも日本に興味がある人がいてくれるというだけで、少しうれしくなります。
 週末も授業の予習などであまり出かける時間はないのですが、先月初めて土日を利用して遠出してきました。行き先はグレートスモーキーマウンテン国立公園で、アメリカで最も入場者数の多い国立公園だそうです。メンバーは私の家族ともう一人の日本人のB.J.さんのほか、中国人のクラスメートとその家族、中国系アメリカ人のJDの友人の計7名で、2台の車に分乗して行きました。グレートスモーキーマウンテン国立公園はナッシュビルから車で通常4~5時間かかりますが、アメリカの高速道路はとても運転しやすいので、思ったほどは疲れません。グレートスモーキーマウンテンでは紅葉が始まっており、とても美しい景色を堪能し、勉強で疲れた心も癒されました。また、夜はコテージを借りて中国人の友人達が作った中華料理に舌鼓を打ちました(ちなみに私は日本を代表するキャンプ料理としてカレーライスを作りました。結構評判はよかったです)。翌日は渋滞していたこともあり、ナッシュビルに帰るまでに6時間程度かかってしまいましたが、とても充実した2日間でした。ただ、翌日からの授業の予習もあまりできておらず、しかも疲労もかなり溜まっていたため、翌週は授業についていけなかったことは言うまでもありません。週末勉強しなかったツケは大きいとつくづく感じましたが、よい思い出になりました。

 忙しいながらも充実した秋学期を過ごしていますが、12月に入ると、いよいよ試験が始まります。電話帳ほどもあるケースブックを読み返すとなると少し気が滅入りますが、この3カ月間頑張った成果を発揮できるよう、全力で準備したいと思っています(試験が終わると楽しい冬休みが待っています)。

H.T.のプロフィール・受験体験記はこちらです。
http://blog.so-net.ne.jp/vanderbilt-law-japan/2007-09-30


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週替わり日記2008 その2 B.J.の場合 [週替わり日記(2007-2008)]

はじめまして。2008年LLMに在籍しますBJと申します。私もH.T.さんと同じくサマースクールから参加しています。本年度のLLMの状況は,H.T.さんがお書きになっているので,受講科目への感想等について少し触れたいと思います。

1. 受講科目と受講理由

H.T.さんと同じく契約法,会社法,会計入門,リーガルリサーチアンドライティングの4科目を受講。単位外ですが,別途LLM Englishを受講しています。受講理由は以下の通り。

・契約法は1年生JDの生活を垣間見たかったのと日本で言えば民法ですからすべての基本だと思ったこと。
・会社法はファイナンスの基本だと思ったこと。
・会計入門は英語力が劣っているので英語学習のため最適だと思ったこと。M&Aの受講要件にもなっています。
・リサーチアンドライティングは,必修で,ケース等の検索から,リーガルメモの作成までの基本を学びます。
・LLM Englishは任意の英語クラスです。最近は日本人2人,ドイツ人,ベルギー人各1人が参加しています。

2. 各科目の感想
・契約法は哲学的で,量も多く,時には時代が古くて格調高い英語のケースも紛れ込むので,相当消化不良を起こしています。RestatementやUCCの参照条文も多く,文字通り四苦八苦しています。周りのJD1年生も気合が入っているので,彼らにも決して楽ではないようです。
・会社法は,教授のお陰で内容も実務的で楽しみにしていますが,月~水の契約法と同じ日にあり,余り深く掘り下げられないまま授業に参加しているのは悔やまれます。
・会計入門は,ほとんど予習に時間が回せず,英語の授業だと割り切っています。
・リサーチアンドライティングですが,2単位科目なのに準備に相当時間がかかります。とはいえ,Researchは金融のフロントに居る限り必要がないので,Writingの授業だと割り切りました。成績を気にする同級生より負担は軽かったかもしれません。
・LLM Englishは英語が苦手だと思っている人のために学校が設定しています。参加も任意です。最近は参加者が4人でほぼ固定していて気が休まります。課題は生徒から要求でき,私はL-R音等,苦手な発音練習をしてもらいました。先週はスラングについてでした。

3. 今までを振り返って
・私の大学時代に比べると,ずっと実務を意識した講義が準備されていると思います。日本でも今では法科大学院が始まっていますが,米国のロースクールは実務者養成学校ですから,いたずらにアカデミックに走らず,バランスが取れたものとなっている気がします。
・勉強のスタイルもそれぞれで,私のように図書館にこもる人,授業だけ来る人もいますが,総じて留学生は長時間の勉強を強いられている気がします。私の場合,一科目2~5時間くらの予習が必要で,本当に気が滅入ることも多いです。
・とはいえ,余暇の過ごし方も重要です。秋学期開始後は,グレートスモーキーマウンテン国立公園への小旅行,同級生宅のホームパーティー,ナッシュビルシンフォニーのコンサート,NFL観戦と時間をやり繰りして楽しんでいます(コンサートが終わっても,NFLのゲームが終わっても,その後は図書館直行ですが。。。)。
・今週はサンクスギビンで1週間授業がありませんが,試験準備に勤しむ人,旅行やパーティーに勤しむ人もいて余暇の過ごし方も多種多彩です。これもいい経験だと思って私も週末2日間だけシカゴに旅行した後,2回ほどホームパーティーに参加して,1回はお好み焼きを披露してきました。期末試験が近づいてきて準備は大変ですが,留学生ならではの生活を楽しめています。


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週替わり日記2008春 その1 B.J.の場合 [週替わり日記(2007-2008)]

1月6日から始まった春学期も早2月に入りました。今学期の状況についてご紹介したいと思います。
学生生活も折り返し地点を過ぎてしまい,かなり焦りを感じています。帰国後,スーツにネクタイの生活に果たして戻れるのでしょうか?

1. 週間スケジュール

 相変わらず週前半が重そうですが,秋学期に比べると、気分的にはすこし余裕があります。とはいえ,短期集中のShort courseを2つ受講していること(土日や平日の夜間に授業が入ります)や,(クレジットを超過し)Auditの授業も登録したことこと,倫理試験(MPRE)受験等もあり、実際には慌しい毎日です。英語の上達も疑わしいところがありますので,毎日あたふたしています。

2.授業の様子
1) 担保取引(Secured Transactions)
 シカゴの実務家弁護士による授業です。UCC Article9について,条文解釈を,分かりやすい実例を交えて説明してくれています。日本案件では動産やIntangible Assetsの担保評価はほとんど出来ませんが,自分が手がけた当地のLBO案件ではかならず全資産担保になっていて,資産性も高いので,その仕組みには大変興味を抱いていました。日本でも最近,焦点があたりつつありますが,当地は日本の遥か先を行っており,非常に興味深く受講しています。

2) 破産法(Bankruptcy)
 地元テネシーの実務家弁護士による授業です。教授はテネシー州の破産法の権威のような方で,破産法にまつわるコミッティーには必ず名前が出てきます。授業でも実例をたくさん挙げられるので,Bankruptcy Codeとにらめっこしながら聞き耳をたてています。この授業の唯二の欠点は,参加者が30名なので,授業中にCallされる頻度が高いことと,教授が生まれも育ちもテネシーであることです。彼の授業は良く練られていて,中身は飽きないのですが,綺麗なNYの英語に比べると少し分かりにくい時があり,朝からちょっと大変です。

3) コーポレートファイナンス
 約2週間に一度の頻度で宿題を提出しています。中間テストもあって,ファイナルのウェイトが低くなっています。他の科目では判例や条文集とにらめっこで,気が滅入ることも多いのですが,この授業はファイナンスに重点がおかれていて,授業時間も毎回50分と短く,気分転換にもってこいです。おかげで教科書以外の英文への嫌悪感が薄れ,今学期はWSJにも再び目を通しています。

4) 国際商取引法
 LLMのクレジット要件(年間23~25クレジット)を超過し聴講生で登録しました。日米欧の銀行法や証券取引法にも触れるので,興味のあるコマに絞ろうと思ってます。

5) ショートコース
 コーポレートガバナンスと不動産取引を履修しています。

6) LLM・English
 先学期と同じ先生がELC(イングリッシュランゲージセンター)から派遣されていて,毎回90分教えてくれます。プレゼン,リスニング,文法や最近はスラングまで,生徒が興味を持っている内容をすすんで取り上げてくれます。スーパーボウルの前には,バドワイザーの過去のCM(スーパーボウルの時に,毎回笑えるCMを提供していることで有名です)をYou Tubeでチェックしたりして,毎回楽しませてくれます。ケースブックの分かりにくいところを聞いたりもできますし,Writing Essayの英語チェックや,職探しをしている人にはレジュメのチェックもいつでも対応してくれます。参加者は最近では4名で固定していますが,他のアポイントがあれば,欠席も自由です。先週は幸運にも授業の途中からマンツーマンになり,先生を一人占めできました。

3.学校外生活
  先学期は毎晩12時まで図書館で勉強して帰宅するのが日課だったのですが,今学期は朝7時半には学校についているので,夜は踏ん張りが効きません。先学期よりは授業の分散が効き,効率はよくなっているかもしれませんが。

 図書館での勉強から少し離れようと思い,大学の紹介で,カンバセーション・パートナーになりました。この制度は,大学で日本語他外国語を勉強している学部生とその言語が母国後である留学生に紹介し,双方の会話力のアップを図ろうとするものです。私のお相手Xさんは,高校時代は日本のインターナショナルスクールに居たので,英語,中国語,日本語がべらべらです。Xさんは,この夏,某外資系金融機関でインターンの予定で,将来はロースクールへの進学を希望しているので,金融業務のお話やロースクールでの様子を中心に話しています。テーマが話しやすいので,Xさんは本当にいい英語の先生です。とても彼の発音は真似できませんが,いい刺激になっています。

 また,生まれて初めてホームパーティーをやりました。煮込めばいいだけのおでんと,材料を切ればいいだけの手巻き寿司を準備しました。過去幾度となく美味しい手料理(和食・中華)をご馳走になった,H.T.ご夫妻,姉妹のような中国人留学生Aさん・Cさんに毒見と称して来てもらいました。結果はまずまずだったと思い込んでいます。
日ごろ同級生とゆっくり話す時間もないので,この時は楽しい時間を過ごせました。これが,ホームパーティーの醍醐味なのね,ということがよく分かりましたので,今学期は被害者を増やしたいと思っています。


4.ビザ
 春学期終了まであと3ヶ月,帰国までもわずか半年を残す限りとなりました。I-20の有効期限が5月で切れるので,その際の手続きについて少し触れておきます。
米国では留学の前後最大12ヶ月OPT(Optional Practical Training)として滞在および労働が可能です。制度上はFビザステータスの延長になります。
I-20は最終期限から60日間のグレースピリオドがあるのですが,この期間を過ぎると厳密には不法滞在者になってしまうため,当校ではほとんどの留学生が利用しています。

 私の場合,NY BAR EXAM受験後に帰国するので,卒業後60日以上滞在します。万が一のためにこのOPTが必要です。手続きについては大学のISSS(留学生向け諸事務を担当)が頻繁に説明会を実施しており,私も授業の空き時間に参加してきました。必要書類は簡単ですが,移民局への提出が必要で,発行までに最大3ヶ月かかるため,2月中には手続きが必要です。申請費用は340ドル掛かります。

5.最後に
 日本では幾度となく遅刻していた私ですが,今学期は毎朝8時に授業がスタートするため,せっせと早起きに精をだしています。しかしながら,スタバのコーヒーが眠気覚ましに欠かせなくなりました。おかげでスタバの店員さん,皆,私の顔をみただけで,グランデ・ラテを準備してくれます。彼らからは中毒だとからかわれています。
勉強は楽ではないですが,素敵な人々に囲まれた自由な生活もあと半年。精一杯楽しもうと思っています。


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週替わり日記2008春 その2 H.T.の場合 [週替わり日記(2007-2008)]

 2月も後半に入り、ナッシュビルでも寒さが緩んできました。ナッシュビルは寒暖の差は日本よりも大きいですが、アメリカでは南部というだけあって、ニューヨークやシカゴなどに比べるとかなり春が来るのが早そうです。
 秋学期は毎日の宿題と授業についていくことに必死でしたが、春学期は授業がそれなりに理解できるようになったこともあり、また、勉強の仕方もわかってきたことから、幾分か落ち着いて生活できています。

1.期末試験と成績発表

 秋学期の授業は12月の上旬に終了し、12月中旬から期末試験期間に入りました。私の選択した科目のうち、Regal Writing 以外の3科目で期末試験を受けました。試験の内容はJDと同じですが、LLMの学生には言語のハンディキャップがあるということで、JDの学生に比べて1.5倍の時間が与えられ(試験によっては時間が8時間×1.5倍で12時間になるものもあります)、また英和・和英辞典などの辞書(電子辞書以外)の持ち込みも可能です。
 また科目にもよりますが、試験はノートや教科書の持ち込みが可能なものが多く、授業の内容を丸暗記していく必要はありません(年齢とともに記憶力が衰えつつある私にとっては非常に助かりました)。
実際の期末試験は予想通り長時間かつハードでしたが、特に論述式の問題は頭では答えが概ね分かっていてもうまく答案にすることができず、かなりもどかしさを感じました。しかしながら全ての科目を受験し終えると、内容は別として、解放感と充足感を感じることができ、秋学期はそれなりに頑張ったのだなあと久々に自分を褒めたくなりました。
 成績の発表は、バンダービルトロースクールでは期末試験の終了後1か月経過後となっており、今年は1月22日に発表されました。成績は校内のイントラネットで閲覧でき、予想通り私自身の成績はあまり芳しくないものでしたが、単位は無事取得できました(LLMに関しては、単位を落とすことはないと聞いていましたがそのとおりでした)。企業派遣の私にとっては、成績はさほど将来には影響しませんが、特にこれから就職やJDへのトランスファー(JDの2Lへの編入)を目指すLLMの同級生にとっては、成績はかなり重要な要素のようで、多くの同級生が成績にはかなり一喜一憂していたようです。

2.春学期の週間スケジュール

3.授業の様子
 
 秋学期は週の前半に授業が固まっていたので週の前半は特にハードでしたが、春学期はその反省も踏まえて毎日の授業数ができるだけ同じになるようにしました。単位数はそれぞれの授業が3単位ずつで、4科目の合計は12単位ですが、そのほか聴講生としてコーポレートガバナンスのショートコースを受講しますので、授業のボリュームはトータルでは秋学期と同じです。
 今学期のクラスの選択は、New York Barの受験にはあまり向いた選択ではないですが、私は今年の秋学期まで学校に通ってLLMの2年目のプログラムであるLaw & Business Programを修了する予定ですので(修了するとCertificateがもらえます)、Law & Business Program の必修科目を中心に科目を選択しました(Law & Business Programは通常1年間かけて受講することになっていますが、LLMの1年目に多めに必修科目を受講すれば、2年目の半年間で修了することも可能です)。
 また、私の留学の目的の一つはアメリカの証券規制を学ぶことでもありましたので、証券取引法(Securities Regulation)と国際商取引法(International Business Transaction)のクラスを選択しました。証券取引法は主に米国内の証券(金融商品)取引に関する規制、国際商取引法は主に外国会社に対する米国証券規制とEU・日本を含めた証券・金融マーケットの概要をそれぞれ学んでいます。特に証券取引法は噂に聞いていたとおり予習が大変ですが、帰国後の仕事には生かすことができそうです。
 今学期の授業は、宿題の量は相変わらずですが、秋学期よりもかなりリスニング能力が向上したことに加え、全てJDの2L以上の選択科目を受講しているので、クラスの雰囲気も落ち着いており、気持ち的にも少し余裕をもって授業を受けることができています。
 しかしながら、秋学期から引き続きLL.M. Englishのクラスにも参加しているので、結果的には必要な勉強の量は秋学期とさほど変わっていないのが現状です。

4.学校外生活

 春学期に入りサンフランシスコから友人が来たので、案内のついでにアメリカ最古のラジオ番組である「グランドオールオープリー」の公開収録を見に行きました。
 グランドオールオープリーは、カントリーミュージックやブルーグラスなどのライブを中心とした音楽番組ですが、通常はナッシュビル郊外のオープリーランドで公開収録が行われており、時々ダウンタウンのライマン公会堂で収録が行われます。私が行ったときはライマン公会堂での公開収録でした。
 日本ではあまり知られていませんが、アメリカでのカントリーの人気は高く、カントリーのイベントが全国ネットで放送されたりすることもあります。若手のカントリー歌手のものはポップスやロック風にアレンジされており若者にも人気がありますが(ニコール・キッドマンの夫のキース・アーバンも人気カントリー歌手です)、グランドオールオープリーで行われるものはややご年配の方向けのものが多く、収録には観光バスでお年寄りが大勢押し寄せたりもします。
 私が見たときもカントリーやブルーグラスの歌手が多数出演しており、日本ではこういうものはないなあと感心しました(強いて例えるとNHK歌謡コンサート的な感じです)。
 また、途中で杖をついたお年寄りの女性歌手が出演しテネシーワルツを歌いましたが、彼女の歌がその年齢にしてはびっくりするほど上手く、観客も総立ちで中には号泣する人もいるほどでした。「確かに上手だがなんで皆そんなに感動しているのだろうか」とそのときは疑問に思っていましたが、家に帰って調べると、パティ・ペイジという1950年代の超人気歌手で、テネシーワルツも彼女が歌って世界で600万枚以上売れたとのことです(日本でも江利チエミがカバーして大ヒットしたそうです)。観客が号泣した理由もようやく合点がいきました。そういえば留学する直前に会った人に「テネシー州の大学に行きます」と言うと、「どこそれ?」という反応のほか、「ジャックダニエルか?」という人と「テネシーワルツのテネシーか?」という人がいましたが、ようやくテネシーワルツのことが少しわかった気がしました。
 ナッシュビルでは、そのほかダウンタウンなどでカントリーのライブをやっている店も多く、ナッシュビルならではのカントリーや音楽文化を知るのも留学の良い思い出になると感じました。



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週替わり日記 番外編 CMAミュージックフェスティバル [週替わり日記(2007-2008)]

2008年LL.M.のH.T.です。ご無沙汰しています。
先日、ナッシュビルのダウンタウンで「CMAミュージックフェスティバル」というカントリーミュージックのビッグイベントが開催され、barbriの真っ最中ではありましたが、せっかくなので見に行ってみましたのでその模様をご紹介します。

CMAミュージックフェスティバルとは

 CMAミュージックフェスティバル(以下「CMAフェスタ」)は、カントリーミュージックの全米最大のイベントであり、カントリーミュージックの中心地であるここナッシュビルで毎年6月上旬に4日間にわたり開催されています。CMAフェスタは1972年に「ファン・フェアー」として始まり、今年で27回目を迎えましたが、その規模は年々拡大し、今ではナッシュビルでも最大のイベントのひとつとなっています(ナッシュビルではこのほかカントリーのビッグイベントとして、カントリーのグラミー賞にあたる「CMAアワード」が11月に開催されます)。今年は6月5日から8日の4日間にわたり開催され、連日全米から集まったファンでにぎわいました(入場者は4日間で延べ20万人近くになったようです)。CMAフェスタでは、NFLテネシータイタンズのフットボールスタジアム(LPフィールド)において連夜ライブが開催されたほか、ダウンタウンのあちらこちらにライブステージが設けられ、終日ライブが行われました。また、カントリーの大物スターのサイン会なども開かれ、カントリーファンにとってはミュージシャンと身近に接することができる貴重な機会となりました。

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カントリーミュージックについて

 日本ではカントリーミュージックはほとんど知られておらず、私も以前は伝統的で古臭い演歌のようなものだと思っていましたが、現在のカントリーはポップスやロックなどとの融合も進んでおり、一度聞いただけではポップスやロックとの区別がつかないものもかなりあります(日本で洋楽ポップスとして売られていて、実はカントリーというものも結構あるようです)。ミュージシャンのスタイルもカウボーイハットに模様の入ったシャツ・ジーンズ・ブーツといった伝統的なものだけではなく、ぱっと見ただけではカントリー歌手に全く見えないスタイルのミュージシャンも数多くいます。実際にカントリーは現在アメリカでも最も人気のある音楽ジャンルのひとつであり、若者からお年寄りまで幅広い年齢層に人気があります。また、ビルボードなどの全米のヒットチャートにも数多くランクインしており、カントリーのトップスターはミリオンセラーを連発するとともに、全米のコンサート会場を超満員にするほど人気があるほか、若手人気ミュージシャンも次々に台頭しています。
 ナッシュビルはカントリーミュージックの中心地として、数多くのスタジオやレコード会社があるほか、カントリーミュージシャンの多くはナッシュビル近郊に在住しており、超高級住宅地であるベルミードにも数多くのミュージシャンが住んでいるようです。また、私自身は目撃したことはありませんが、ベルミード近くの高級スーパーや大学の近くのレストランなどにもカントリーミュージシャンがよく来ているそうです。

CMAフェスタの様子(LPフィールドでのライブ)

 CMAフェスタには毎年カントリーのスーパースターをはじめとした第一線で活躍しているミュージシャンが多数出演しており、カントリーのスーパースターを間近で見ることができる数少ないイベントです。今回のLPフィールドでのライブでは4日間で30組以上のミュージシャンが出演し、CMAフェスタ全体ではベテランからアイドルまで合計300組以上のミュージシャンが各ライブ会場に出演しました。

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 連夜のLPフィールドでのライブはアメリカ空軍のジェット機が4機編隊で轟音を立ててスタジアム上空を通過することで始まりました。

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 1日目のライブはモンゴメリー・ジェントリーで始まり、ケリー・ピックラー、ジュエル、テイラー・スウィフト、シュガーランドなどの若手シンガーが出演しました。その中でもケリー・ピックラーとテイラー・スウィフトはまだ20歳前後で、スタイルはほとんどアイドルといっても過言ではないほどです(歌もポップスに近いですがカントリーです)。また1日目にはサプライズゲストとして、ラスカル・フラッツが登場しました。

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 2日目はカントリーの実力派歌手が登場し、キャリー・アンダーウッド、フェイス・ヒルなどの女性有名シンガーが出演しました。観客の年齢層は若者からお年寄りまでとてもに幅広い層にわたっていましたが、ほとんどがカントリーの大ファンであるからか、曲に合わせて大合唱したり、踊ったりしている人も周りにはたくさんいて驚きました。2日目の最後にはサプライズゲストとしてキース・アーバン(ニコール・キッドマンの夫)が出演し、会場は深夜まで大変盛り上がりました。

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 3日目はアラン・ジャクソンやケニー・ロジャースといった大御所的なミュージシャンが出演し、どちらかというとカントリー色の強いステージでしたが、特にアラン・ジャクソンが出演したときには客席から黄色い声援が飛び交い、カントリーのスーパースターの人気の根強さを実感しました。

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 そして最終日である4日目は、人気テレビ番組ハンナ・モンタナの主人公役であるマイリー・サイラスの父親ビリー・レイ・サイラスやサラ・エヴァンスが登場したほか、最後は20年ぶりの登場となるドワイト・ヨーカムで締めくくり、4日間のライブが終了しました。

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 4日間のライブは連日4時間にわたり、特に最終日には体力の限界を感じましたが、隣の観客ともすっかり意気投合し、とても楽しい4日間を過ごすことができました。また、この4日間でカントリーミュージックとファンのパワーに圧倒され、終わってみると妻ともどもすっかりカントリーミュージックの虜になってしまい、ナッシュビルに来た甲斐があったと今更ながら実感しました。
また、4日間のライブで歌われた数多くの曲は、伝統的なカントリーの要素が強いものから、ポップスやロックとの区別がほとんどつかないものまでとてもバラエティに富んでおり、今でもカントリーミュージックが進化し続けていることがよく分かりました。

 なお、今回のLPフィールドでのライブの模様は、9月に3大ネットワークのひとつであるABCで全米に放送される予定となっていますので、アメリカにいらっしゃる方はぜひご覧ください。

 今回CMAフェスタでは、カントリーミュージックのアメリカでの人気に比べ、日本ではほとんど知られていないことのギャップに気が付き、日本人の知らないアメリカの姿を垣間見ることができたような気がします。おおげさかもしれませんが、ナッシュビルではカントリーミュージックを通じて東海岸や西海岸とは一味違うアメリカを発見できるのではないでしょうか。

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