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週替わり日記2008秋学期 その3 N.Mの場合 [週替わり日記(2008-2009)]

 こんにちは。N.Mです。秋学期が始まってから約一月半が過ぎましたが、いまだに4重苦(読めない、聞けない、話せない、書けない)で苦しんでいます。お隣アラバマ州出身のヘレンケラーに負けないように、またこちらの幼稚園に通って2か月の娘(3歳)に追いつかれないよう頑張っているつもりですが、早くも「パパ!“ハロー”じゃなくて“ヘロー”でしょ!」と厳しい指摘を受けてしまいました。

1.サマープログラム(English for Legal Purposes Institute)について

 6月下旬に家族(妻・2歳の娘)とともにナッシュビルに到着し、ひととおり生活のセットアップをすませて7月中旬から4週間に渡るサマープログラムに参加しました。サマープログラムでは、平日9時から13時まで、法律英語と大学の授業で必要な英語スキルについての授業が行われました。英語に慣れる、という意味で役に立ったのはもちろんですが、それよりもむしろ①午後を生活のセットアップにあてられた(特に家族帯同だと色々と大変です)、②LL.Mの同級生(約半数が全4週間参加し、最後の1週間はほぼ全員参加しました)と仲良くなれた、という点が良かったと思います。

2.LL.M Class of 2009について

 今年のLL.Mは全員で30名、このうち日本人が6名です。また、このほかに2年目のH.Tさんと韓国人、インド人各1名が2年目として在籍しています。JDが1学年200名弱ですので、ロースクール全体としても規模は大きくはありません。特にLL.Mは全員がお互いに“クラスメイト”として認識できる規模で、多すぎず、少なすぎずちょうど良い規模だと思います。独身・単身者の多くが住む学校の目の前のアパートメントでは毎週のように夜中まで(夜中から?)酒盛りが行われているようです。このへんについては、深夜の部レギュラーメンバーのS.Yさん、I.Aさん、お願いします。なお、出身国は、日本が最多で、以下人数順に中国、タイ、ドイツ、ノルウェー、韓国、ブラジル、インド、ニカラグア、ベネズエラ、フィンランド、ナイジェリア、フィリピン、アルゼンチン、ロシア、ルクセンブルグと規模のわりには多岐に渡っています。日本人は今年も最多ですが、これまでも(意外にも)かなりの割合を占めていたようで、学校のスタッフも「日本人が何たるか」、をよく知っておられるので、何かと助かります。

3.秋学期の週間スケジュール

 私は2年間当校に在籍する予定ですので、H.Tさんと同じくLaw & Business Programの履修を前提に、同プログラムの必修科目(会社法、証券取引法、税法、会計学入門、ファイナンス入門)のうち3科目(会社法、税法、会計学入門)を履修しています。このほか、LL.M全員必修のIntroduction to Legal Research & Writing in the United Statesと、オリエンテーション期間中にJDを含めた新入生全員が受講するLife of Lawというショートコースをあわせ、計13単位を履修しています。なお、私は卒業論文を書かないCourse Trackですので、卒業単位は23単位です。 また、この他、LL.Mの希望者が無料で受講できる英語の授業も週2コマ受講しています。大学の英語教育機関(ELC)から、サマープログラムと同じ講師が派遣され、発音矯正など、受講者の希望に沿ってテーマを選定してくれます。また、この他にも当校のGraduate StudentはELCで開講しているコースのうち希望コースを1つ無料で受講できます。今学期は気持に余裕がなく見送りましたが、来学期は挑戦してみようと思っています。

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 会社法は、今期は2人の教授が開講していますが、私は、このうちLLCなどCorporation以外の形態についてもカバーする4単位(他方は3単位)の授業を選択しました。毎回のReading Assignmentは10~20ページ程度と多くはありませんが、連邦、デラウェア州、ニューヨーク州などJurisdictionごとに考え方が若干異なるので、深く理解しようとするとなかなか奥が深く、気づいたら随分長い時間教科書(日本語の参考書を含め)と向かい合っていた、ということもあります(眠りに落ちていることもよくあります。)。担当教授はとても上品な方でゆっくり話される上、LL.MプログラムのDirectorでもあることから、外国人(特に日本人)の語学能力をよく理解されていて、授業終了後質問に行くと、懇切丁寧に、かつ、さらにゆっくり説明してくれます。また、毎週水曜日の昼は昼食持参のオフィスアワーとされていて、授業に関する質問のみならず、LL.Mプログラムに関する意見なども聞いてもらえます。当校の看板科目の一つですので、他の学生たちも積極的に授業に参加しています。

 税法は、実はほとんど興味がないにもかかわらず必修科目だから、ということで履修したのですが、今学期の履修科目の中では断然面白く、はまってしまっています。カバー範囲は連邦税の大部分を占める個人所得税で、Federal Tax CodeというStatuteはあるのですが、単に条文をなぞるのではなく、ケースをもとに、憲法との関連や、経済的な視点などから、「税金とは何ぞや」を問うダイナミックな授業が展開されています。他の授業では、JD達は教授がしゃべったことを猛烈なスピードでタイプしてノートを取るのが一般的ですが、この授業では、「自分のレクチャーノートを毎週サイトにアップするのでノートを取る必要は一切ない。授業中は考えることに集中しなさい」という方針なので、とてもノートなどを取れない私には有難い一方、教授は議論を好み、バシバシ指名されるので、かなり緊張感があります(ただし教授はせっかちでもあるので、う~とか、あ~とか言っていると自分でさっさと答えて先に進んでくれます)。MBAホルダーでもある教授はかなりの熱血漢で、興奮してくると、叫んだり、とび跳ねたり、机の上に飛び乗ったりとかなり危ないのですが(他の教授も彼は???と言っていました)、日本の大学の授業ではありえない熱い雰囲気に時間を忘れてのめりこんでしまいます。

 会計学入門は、「簿記がわかれば大丈夫」と聞いていたのですが、今年から講師が変わり、そもそも講師の英語がまったく聞き取れず教室で何が起こっているのかわからない、というピンチに直面しています。その旨講師に率直に打ち明けたところ、「僕は日本に留学していたことがあるし、今のクライアント(彼はナッシュビルの会計事務所のパートナーCPAです)も日本企業だから、君の状況はよくわかるよ。」と(結構上手な日本語で)なぐさめてくれました。とはいえ困った状況はまったく変わらないのですが…。
 
4.学校外生活
 
 私は妻と娘を連れてきているため、自分が勉強に打ち込むためにも、家族のケアーが重要となってきます。こちらで生きていくためには、まずは車と英語、ということで渡米直後から妻は車の運転の練習を始めました。日本では完全にペーパードライバーだったのですが、こちらは道や駐車場も広く、交通量も多くないので、すぐに運転できるようになり毎日学校まで送り迎えしてもらっています(片道10分弱ですが)。また、英語については、複数の教会で無料の英会話教室が開かれていて、妻も毎週火・水・木・日と3つの教会に通っています(すべて無料です)。また、当校のELCや近くにある他の大学のELSに通われている奥様方もおられます。この他、教会以外でも無料のConversation Partner Programなどがあって、私も週1回参加しています。私のパートナーはアメリカ人の女子短大生で、毎回1時間強のひそかに楽しい(!)時間です。

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教会で知り合った夫婦にナッシュビルを案内してもらいました。
大都会と違ってこちらの人は本当に親切です。

 ナッシュビルには日系企業も多く、親日的な土地だと感じることが多いですが、NYCなどと比べれば在留日本人も圧倒的に少なく(1000人弱)、日本人学校もありません(ナッシュビルから30分ぐらいのところに補習校はあり、かなりの数の小中学生が在籍しているようです)。娘の幼稚園のことが気にかかっていたのですが、在校生の方やビジネススクールの方の奥様などからいろいろ教えていただき、学校のそばにある教会付属のとても評判のいい幼稚園に入れることができました。今年は日本人の子供が4人在籍しているのですが、同じクラスにはアメリカ人の子供しかいないので、娘は先生や他の子供と英語でコミュニケーションを取らなくてはなりません。日本でも母親から長時間離れたことがないので心配していたのですが、最初のうちは泣いていたものの、すぐに慣れ、今では毎朝投げキッスでバイバイするようになりました。先生方もとても熱心で、とてもよく子供を観察していてくれます。妻も英語ができないため先生との会話を心配していましたが、根気強く妻に付き合ってくれ、うまく通じなければ手紙を書いてくれたりするので問題ありません。

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娘の通う幼稚園です。大きな教会の中にあります。

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幼稚園の遠足でZooに行きました。仲のいいお友達と。

幼稚園以外でも、子供を育てる環境、という点では当地は最高だと思います。ナッシュビル自体、比較的生活水準が高く教育レベルも高い町とされているうえ、当校が所在し、留学生の多くが住むエリアは、その中でもいわゆる「いいエリア」で、治安も大変よく、教育施設、きれいな公園等やかわいい子供服屋さん、質のいいおもちゃ屋さんなども多くあります。また、州都かつ州最大の都市で不便はないにもかかわらず、日常生活は車で15分以内のエリアですべて済ますことができるので、家族との時間も多く持つことができます。どうせなら、豊かな自然に囲まれたゆとりのある生活を送りたい、という方にはおススメです。

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アパートメントの目の前にある大きな公園。よくここで家族で
ピクニックをします。立派なテニスコートもあっていつでも無料
で使えます。

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NAPという児童館みたいなところ。お母さん同士の情報交換
も大切です。
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