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受験体験記 Aの場合 [受験体験記(2009年入学)]

1. 略歴
(1) 在籍プログラム:LL.M. (2010年度)
(2) 留学形態:官庁派遣
(3) 職務経験:官庁に5年勤務
(4) 海外経験:なし

2. 留学の動機
・その国に行かないと分からないものがある。
 インターネットの普及は、外国法についての情報の入手も容易にしました。ことアメリカについていえば、法律の条文や判例であれば、ほとんどのものがWeb経由でも入手できます。しかし、個々の判例や法律の考え方であったり、経緯、あるいはそれを生み出した社会的背景ということについては、まだまだその国に行かないと見えてこない部分が多数あります。
 近年、様々な分野やレベルでの制度立案にあたっては、海外制度への参照を求められるケースが増えてきました。単なる制度の「輸入」に陥らないためにも、外国で生活してその国の制度を学ぶことは一つ掘り下げた学習をする機会である、と考えていました。

・アメリカが議論の最先端にある分野がある。
 もう少しミクロなレベルでいえば、アメリカが議論の最先端と言える法分野は多くあります。例えば、テクノロジー関連の規制のような新しい分野がそうですし、金融関連の規制のように金融理論や経済学など他分野の知見を統合することが求められる分野もそうです。もちろん、議論の方向性や判例理論の妥当性については注意する必要がありますが、日本では議論すらされていない論点について、裁判例があり、論文があり、研究者のブログでの議論がある、というのは非常に魅力的に映りました。こうした環境は、アメリカで法律を学びたいと感じた決定的な動機となりました。

3. 受験対策
(1) TOEFL (iBT)
 基本的には、100点が一つの基準点になるでしょうか。私の場合、出願時には100点に到達したものの、かなりぎりぎりの時期でした。項目ごとには、以下のような対策でした。

 - Reading
  特に対策せず。英語のwebサイトを読む程度でした。
 - Listening
  こちらも特に試験用の対策はせず。ただ、リスニング能力一般のトレーニングとしては、podcastを活用しました。ABC、NBC、CBSなどのニュース系だけで毎週10本以上更新されますので、通勤時間を活用した学習にはちょうどいい分量でした。
 - Speaking
  対策本を購入して、問題の傾向や回答の留意点を把握するように努めました。ただ、私の場合、(人に向かってではなく)マイクに向かってしゃべるスタイル、回答のスタイル(時間制限のある中で話すこと)に最後まで慣れないままでした。
 - Writing
  こちらも、対策本を購入して、答案の構成を把握するように努めました。

 このように、予備校は使わず、受験の回数を重ねていい点数が取れるようにアジャストしていくよう試みました。一つだけ留意していたのは、体調管理です。4時間近い長丁場の試験で、継続的な集中力が要求されますので、前日はきちんと睡眠を取るなど、試験中に「ガス欠」にならないようにした、というところでしょうか。

(2) エッセイ・推薦状
 エッセイについては、誰かに見ていただくことはしませんでした。内容に自信があったからではなく、スケジュール的に厳しくなる中、見ていただく時間がなかったというのが正直なところでしたが。。。
 こうした状況の中、文章の構成には特に留意しました。これは、出願時の英語力では、英語面の完成度については完璧を期するのは難しいことから、多くの分量を書くのではなく、自分の過去・現在・未来をロースクールにおける学習ときちんとリンクし、出願先ロースクールがそれに最適であるということをシンプルに述べるように心がけました。
 推薦状は、大学時代のゼミの指導教授、職場の上司にお願いしました。

4. バンダービルト大学を選んだ理由
(1) 小規模のプログラムであること(毎年30名程度)、LL.M.の学生であることによる履修科目等の制限が比較的少ないこと
(2) 知的財産法など、学んでみたいと考えた科目が充実していたこと
(3) ナッシュビルというロケーションが魅力的であったこと(音楽ビジネスの中心地であることから関係する法律問題へのアンテナが高い、気候面でも過ごしやすい)

5. 終わりに
 振り返ると、皆さんがおっしゃっているとおり、計画的な出願が重要ということになりますが、仕事をしながらの準備となるとなかなか難しいですよね。もちろん、全部をいっぺんにはできないですから、まずはTOEFLの点を早目に取って、その後にエッセイの準備に移るというのがオーソドックスな進め方でしょうか。
 また、大学選択は日本にいると情報に限りがありますし、何を重視すべきかも分かりにくいですよね。卒業生・在学生含めて、当大学に留学した人の満足度はかなり高い方だと思いますが、みなさん重視した点は色々です。もちろん、周りに留学経験者がいらっしゃる場合はその方のアドバイスが参考になると思いますが、近年はブログをはじめとしたWeb上の情報も充実していますので、なるべく広範囲の情報を集めて検討された方がよろしいかと存じます。例えば、生活面の情報であれば、他のスクールの留学生の情報も参考になると思います。ヴァンダービルトについていえば、ビジネススクールの留学生のみなさんもHPを持っています。サイドバーにリンクがありますのでぜひご覧ください。

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週替わり日記2009秋学期 Sの場合 [週替わり日記(2009-2010)]

 初めまして。2010年度LL.M.のSです。ここのところナッシュビルはずっと寒く、今日は雪が降りました。地元の人にとってもこれほど寒さが続くのは珍しいとのこと。間もなく春学期が始まる時期ですが、私の秋学期の状況についてまとめてみました。

1. 秋学期のスケジュール
スケジュール(画像).JPG
 日本の大学の時のイメージがあったため、登録当初は少ないかな、という気もしたのですが、実際には予習復習に時間を取られるため、最初の学期としてはこの分量で適切だったと思います。

2. 授業の様子
(1) Constitutional Law II
 アメリカ憲法のうち個人の権利保障に関する部分です。2・3年生向けの授業で、J.Dの学生達は既に統治機構部分であるConstitutional Law Iを履修していて、講義はそれを前提に進められるので最初の方はついていくのが大変でした。
 憲法の全体像や米国の歴史について改めて勉強していくと、一つ一つの判例や憲法理論の背景にアメリカの文化・歴史や価値観の問題を見て取ることができ、興味深く講義を聞くことができました。

(2) International Trade and Human Rights
 WTOを中心とする国際貿易に関する諸論点についてLabor, Health, Human Traffickingといった観点から問題点を分析する講義です。
 20名程度の少人数の講義で、LL.M.の学生は私の他にもインド・韓国・中国の学生が受講しており、それぞれの国の観点からの意見を求められるため、発言する機会が最も多い授業でした。
 言いたいことがたくさんあるのに、なかなかうまくまとめられなかったり、或いはすぐに出てこなかったりしてもどかしい思いもしましたが、少人数ということもあって非常に発言しやすい雰囲気で積極的に議論に参加することができました。もともと関心のあった国際貿易の分野ですが、こちらの講義での議論の進め方や発言のタイミングなども学ぶことができたため、有意義だったと思います。
※ この他、Contracts, Legal Writing, LL.M. English, International Trade Lawについては既出のため省略しました。

3. その他
 当方は妻と1歳半の娘と共に渡米してきましたが、大学を通じて家族と共に現地の住民と交流を図る機会にも恵まれました。

(1) First Friend Program
 大学に申請して、現地の家族を紹介してもらう制度です。私達の場合は、同じくらいの子供のいる家族を希望したところ、私達と年齢も同じくらいの夫婦を紹介してもらいました。1ヶ月に1度程度、ハロウィーン、クリスマスなどの機会に一緒に食事や外出をしたり、現地での生活に関する情報を教えてもらったりしています。

(2) 日本語ボランティア
 たまたま校内の張り紙で見つけたもので、大学の日本語の講義を受講している学生のために日本語の話相手になるものです。ただ、私達の紹介してもらった学生は同じくたまたま張り紙を見ただけのJ.D.の学生で、その講義とは関係ありませんでした・・・。彼は日本への留学経験もあって、将来は日本語を使って仕事をしたいとのこと。お互いに英語と日本語を教えあっているので非常に会話もしやすく、J.D.の話も聞けるのでためになります。この冬はメンフィスにある彼の実家にも遊びに行ってきました。


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受験体験記 Sさん [受験体験記(2009年入学)]

1. 略歴
(1) 在籍プログラム:LL.M. (2010年度)
(2) 留学形態:官庁派遣
(3) 職務経験:官庁に6年半勤務
(4) 海外経験:特になし

2. 留学の動機
・ 交渉等の場面で使用できるよう、英語の能力を高めたかったから。
・ 他国でどのように法律が作られ、どのように使われているかに興味があったから。

3. 受験対策
(1) TOEFL (iBT)
 他の方も書かれていることですが、出願の時期に出願戦略そのものや書類の作成に集中するためにもTOEFLの点は早めに確保したいところです。私の場合は比較的早い段階で100点に到達したのですが、夏に人事異動があって仕事が非常に忙しくなったことから、出願の面で常に後手に回ってしまいました。常に全体のスケジュールを意識しつつ、早めに100点に到達した人は、いつの段階で「見切り」をつけるかという判断も必要になってくると思います。
 各セクションごとの勉強方法は以下のとおりです。(Readingについては特に対策をせず。)
(Listening)
 ご存知のとおりTOEFLのListeningは大学の講義や大学生活という特定の場面を想定しているので、会話に出てくる単語を知っておくことは極めて重要です。(単語がいくつか分からないとそもそも何の話をしているか全く分からないという事態に陥りかねない。)市販のTOEFL用の単語帳やリスニング教材を何度も繰り返して専門用語の習得につとめました。
(Speaking/Writing)
 独学では難しいと感じたので、専門学校の授業を受講しました。専門学校では、この2分野については回答のための「型」(”テンプレート”と呼ばれていました。)が提供されていました。両論あると思いますが、特に時間の無い出願者にとっては専門学校で提供される「型」は一定の点数まで持っていくのには非常に役に立つと思います。これだけでは頭打ちになってしまいますが・・・。
(2) Essay・推薦状
 エッセイは民間のコンサル業者のチェックを受け、推薦状は、大学時代のゼミの教授と職場の上司にお願いしました。(1)にスケジュールのことを記載しましたが、特に推薦状については自分だけで完結することは難しいので早めに着手することが必要だと思います。

4. バンダービルト大学を選んだ理由
(1) 中規模の都市で利便性と生活環境を両立させられること。
(2) 気候が東京に近く、この面で極端な生活を送ることにならないこと。
(留学前に何人かの体験記を読んで、降雪地域だと冬場のモティベーションの維持が難しいと感じられたため。)
(3) 比較的小規模なLL.M.のサイズから、きめ細かいサービスが期待できると考えたこと。

5. 終わりに
 私の場合は当初別の学部への入学を考えていたのですが、出願過程の半ばで過去の留学者の体験記からこの大学を知り、最終的に合格した複数の大学院の中で、4.に記載した理由といずれの学部に進学するかという点を比較してバンダービルトに決めました。夜中勉強の合間に散歩などしていると、少し前には名前も知らなかった街に留学に来たのだなあ、などとしみじみ思ってしまいます。結果としてこれがベストの判断であったかは現時点では知る由もありませんが、これから留学をお考えになる方は、せっかくの機会ですので、最初から選択肢の幅を狭めることなく、自分の関心事とどのように関連するかを意識して幅広く情報を集められてはいかがでしょうか。

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週替わり日記2009秋学期 Kさんの場合 [週替わり日記(2009-2010)]

こんにちは。2010年度LL.M.のKです。ただいま冬休みで秋学期試験の骨休め中です。あと一週間強で春学期が始まります。私の秋学期の授業の状況は下記の通りです。

1. 秋学期のスケジュール

無題.jpg

上記に加えて、Collective Management of Copyrightsというショートコースを履修しています。

2. 授業の様子
(1) Contract
Hさんと同じ科目です。教授は非常にはっきりと話してくれていたので、非常にわかりやすい授業でした。内容は日本の民法とそれほど違い(もちろんConsiderationの有無など違いはありますが)はないので、理解もし易かったですし、取っつきやすい科目でした。少人数ですので結構頻繁に当てられるので、アメリカのロースクールのソクラテスメソッドクラスに馴れるのにも良かったと思います。
(2) Corporation and Business Entities
こちらもHさんと同じ科目です。教授の講義も分かりやすく、しゃべり方も丁寧でしたので非常に聞き取りやすく、良い授業でした。日本ではそれほど会社法には興味が無かったのですが、この授業はなかなか面白く、会社法に対する理解度も相当程度増したと感じています。私もHさんと一緒にグループスタディに参加していました。グループスタディは授業の理解を深めるためにも有意義でした。
(3) Sports Law
ずっと勉強したかった科目でしたが、講義の内容がNCAA(全米大学体育協会)とアメリカンフットボールについての話がメインでしたので、馴染みの無い私にはついて行くのが結構辛かったです。しかし、アメリカのスポーツのサラリーキャップ、Title IX(教育機関による差別禁止の条項)やスポーツ界における独占禁止法のissue (MLBは独占禁止法の対象外となる等)など、日本では決して学べないことを学ぶことができたので、非常に有意義でした。リーディングアサインメントはないのですが、逆に何を話すか予想がつかないため、かなり集中していないと聞き取るのが難しかったです。ただ当てられることがないので精神的には楽でした。
(4) Legal Research and Writing
これもまたHさんと同じ科目です。教授は非常にハイテンションな方ですが、はっきり話す方なのでわかりやすい授業でした。
(5) LL.M. English
LL.M.生専用の英語のクラスです。これは出席が自由で、単位も与えられない授業です。内容は、与えられたトピックについて話あったり、聞き取りの練習等です。喋る機会を得るという点でなかなか良かったと思います。
(6) Collective Management of Copyrights
5日間のショートコースです。アメリカの著作権管理団体の話を中心に、著作権管理に関する問題点等についての講義でした。リーディング量も多かったですが、教授がパワーポイントを用意して講義をされていたので、理解の助けになりました。また期間中に著作権管理団体の方を招いて話を聞く機会があり、著作権管理の実務に触れることができ非常に良かったと思います。

3. その他
平日はほとんど授業と予習の毎日でしたが、時間を見つけてサッカーをしたり、ジムで筋トレをするなどして体を動かしていました。平日はあまり時間が取れないので(といっても日本にいた頃と比べるとだいぶ時間はありますが)、妻と一緒にレストランやカフェに行くなどして過ごしました。LL.M.の仲間とのイベントもあり、かなり充実した毎日を送っています。



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受験体験記 Kさん [受験体験記(2009年入学)]

1. 略歴
(1) 在籍プログラム:LL.M. (2010年度)
(2) 留学形態:社費留学
(3) 職務経験:メーカー法務に5年勤務
(4) 海外経験:特になし

2. 留学の動機
・ スポーツ法やエンターテイメント法を学びたかった。
・ 社費で海外留学できるチャンスを活かしたかった。

3. 受験対策
(1) TOEFL (iBT)
 Hさんもおっしゃっているのと同様に、私もなかなか100点まで到達しませんでした。仕事が秋以降かなり忙しくなってしまいなかなか勉強ができず、100点に到達したのは11月でした。やはり早めに点数を取っておくと後が楽になります。各セクションについてとった対策は以下の通りです。
(Reading)
 日本人には点数を稼ぎやすいセクションですので、市販の教材を購入して2度程度一通り解きました。問題慣れをすればそれほど難しくはないので、満点に近い点数は取れると思います。
(Listening)
 市販教材のListeningセクションやBBCのNewsPodをMP3 Playerに入れて聞いて耳をならしました。BBCはイギリス英語なのでTOEFLのアメリカ英語とは若干違うのですが、耳慣れという意味では良かったと思います。また、聞くだけではなくシャドーイングを繰り返して口と耳の両方の練習をしました。きちんと発音ができていれば聞き取れるようになるので、シャドーイングは非常に有効でした。
(Speaking)
 特に対策はしていませんが、市販教材に一通り目を通して、問題慣れに心がけました。ただスコアがあまり伸びず、一番足を引っ張ったセクションでした。もっと対策をすれば楽になったのにとちょっと後悔しています。
(Writing)
 特に対策はしていません。

(2) Essay・推薦状
 エッセイは今までやってきた仕事と大学で勉強したいことの両方をリンクさせてを記載しました。仕事の関係で非常に忙しくなってしまいなかなか手が着けられず、第1稿ができたのが12月初めで、Early Applicationのある大学には推敲が不十分なエッセイを出さざるを得ませんでした。結果、第1稿のエッセイを送ったところは全て落ちてしまいました。年末を利用して十分に推敲した第2稿のエッセイを提出した大学はほぼ受かったので、当然ですが、きちんと推敲する時間を考慮して早めに書き始める必要があると思いました。第三者のチェックは受けていません。
 推薦状は、大学のゼミの教授と会社の上司にお願いしました。推薦状は早めに対応していたので、10月前には既に頂いていました。

4. バンダービルト大学を選んだ理由
(1) 小規模なLL.M.だったこと。
(2) 勉強に集中できそうな環境だったこと。
(4) 最初に合格通知がくれたこと。
(5) アドミッションの方の対応が迅速かつ丁寧であったこと。

5. 終わりに
 もうすでに出願をされている方が多いかと思いますが、仕事のスケジュールを調整するのはなかなか難しいですので、TOEFLやアプリケーション準備は余裕を見て早めにすべきだと思いました。でないと私のようにぎりぎりで焦ることになります。ロースクール選びについてですが、私は、ランキングにはこだわらず、自分の学びたい科目(スポーツ法かエンターテイメント法)を提供しているロースクールだけを受験しました。折角一年間勉強する時間が得られるチャンスですので、ランキングだけではなく自分のしたい勉強ができるロースクールを選ばれると良いかと思います。


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週替わり日記2009秋学期 Hの場合 [週替わり日記(2009-2010)]

初めまして。2009年7月入学のHです。先日秋学期の試験も終わり、今は春学期開始までの間、一息ついているところです。私の秋学期を振り返って簡単にまとめてみました。

1. 秋学期のスケジュール

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履修科目ですが私は開講スケジュールと自分の希望があまり合わなかったということもあり、他の方より少し少なめです。したがってそのぶん春学期に多く履修しなければなりません。

2. 授業の様子
(1) Contract
今年はLL.M.のみの特別クラスが開設されたため、20数人の小規模クラスとなりました。講師は保険会社のインハウスロイヤーが非常勤で勤めていました。非英語圏出身者にも聞き取りやすいようにはっきりと発音してくれていたので私としては有難かったです。また、クラスで教授から指名された時の回答や発言に馴れるという意味で、少人数のこのクラスがよい機会だったと思います。
(2) Corporation and Business Entities
今学期は自分の中でこのクラスがメインだったといってよいと思います。JDとLL.M.合わせて約100人の大人数クラスで、Blairという女性の教授が担当されていましたが、授業の内容がよく整理されていて、解説も丁寧だったと感じました。まだ、試験前のフォローアップや、あらかじめ詳細な試験のインストラクション(問題の種類と配点など)があったこともありがたかったです。内容としては取締役責任やM&Aに相当程度時間が割かれていたように思いますが、LP、LLCなどの会社以外のエンティティにも触れられていました。コールオンはあらかじめクラスを4つのグループに分けたうえでグループ毎の指定が毎回事前になされるので、ある程度は自分が指名されるタイミングが予想できました。なお学期の途中から、同じ授業を履修しているLL.M.の他の学生数名とグループスタディを始めました。授業の前に指定された範囲のケースを読んでポイントを確認し合うというものでしたが、自分の理解を確認できたり、あるいは見落としていた重要点に気づいたりできたことが有益だったと思います。
(3) Legal Research and Writing
WestlawやLexisnexisを使ったリサーチのやり方と、リーガルメモの作成の方法を学びました。授業自体はそれほど負担になりませんでしたが、リーガルメモ作成などの課題が結構大変でした。
(4) International Trade Law
この授業は5日間の集中講座(ショートコース)でした。授業内容は主にWTOの規定と主要な事件についてでしたが、自分にとってはあまり馴染みのない分野でしたので興味深く聴講しました。ただ短期集中講義なので、授業前のリーディングをこなすのがかなり大変で、最終日のリーディングに関してはかなり未読の部分が残ってしまいました。

3. その他
平日はロースクールの授業と予習でほとんど時間が割かれてしまいますので、週末はなるべく家族と過ごすようにしました。ナッシュビルの色々なレストランに食事に行ったり、近所で催されているイベント(ドイツ人街でやっていたオクトーバーフェストが楽しかったです。)を見に行ったりしました。


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受験体験記 Hさん [受験体験記(2009年入学)]

1. 略歴
(1) 在籍プログラム:LL.M. (2010年度)
(2) 留学形態:社費留学
(3) 職務経験:法律事務所に3年半勤務
(4) 海外経験:特になし

2. 留学の動機
・ 英語で法律的な議論ができるようになりたかったから。
・ 金融取引法務について学びたかったから。

3. 受験対策
(1) TOEFL (iBT)
 一般的にロースクール入学に必要なTOEFLのスコアは100点とされているところが多いと思いますが、私は90点を超えてから100点まで到達するのに結構苦労しました。各セクションについてとった対策は以下の通りです。なお、出願の時期にはエッセイ等のドキュメンテーションに集中するためにも、早め(夏くらいまで)のスコア取得が望ましいと感じました。
(Reading)
 当初からそれなりに点数が取れたことと、その後も比較的安定して点数が取れていたことから、特にReading用の対策はしませんでした。
(Listening)
 TOEFL用の教材のListeningセクションをiPodに入れて聞いたり、Podcastを利用してアカデミックな英語を聞く練習をしたりしました。しかしスコアがあまり安定せず、精神的に負担となったセクションでもあります。
(Speaking)
 自力ではきついと思っていたので、事務所を通じて外国人講師のレッスンを受けていました。スピーキングセクションのコツのようなものを体得する手助けになりました。
(Writing)
 事務所に置いてあったライティング用の教材をいくつか使って練習問題を解いた程度です。

(2) Essay・推薦状
 エッセイは事務所での仕事内容に関連付けて入学動機を記載することを心がけました。自分でまずドラフトをした後、事務所の外国人弁護士にチェックしてもらいました。
 推薦状は、大学時代のゼミの教授と事務所の上司にお願いしました。

4. バンダービルト大学を選んだ理由
(1) 比較的小規模なLL.M.のサイズが自分の嗜好に合ったこと。
(2) 適度に都会で適度に田舎という環境が好ましかったこと。
(3) 生活費が他の大都市圏に比べて安いこと。
(4) アドミッションの方の対応が迅速かつ丁寧であったこと。

5. 終わりに
 仕事をしながらのTOEFLの勉強やアプリケーションの準備は大変で精神的にも疲れる作業だと思いますが、出願時期に慌てないためにもなるべく早め早めに動くことが大切だと感じました。また、ロースクール選びにおいては、ランキングに依拠することもひとつの手ですが、当ブログが提供しているようなより詳細な情報を得た上で自分に合ったロースクールを選択されると良いかと思います。


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同窓会レポート2009 [卒業生より]

2007年J.D.卒業生のMです。今回は、4月17日(金)、都内某所にて行われたVanderbilt Law School 日本人会(LL.M.プラスJ.D.)の同窓会&2010年度合格者をお招きしての懇親会の模様をレポートしたいと思います。当日は、第一期生(2002年卒業)のHさん、Sさん、Tさんを筆頭に、ほとんどの期の皆さんと、そして来年度合格者の方数名が参加されました。卒業生・在校生ともに女性の方もいらっしゃるのですが、当日は残念ながら御欠席だったため、隠れ家のようなお店でほのかな明かりのもと、男性のみの怪しくもにぎやかな会合となりました。

VanderbiltがLL.M.の留学生を受け入れ始めたのは2002年卒業生からと歴史が浅く、LL.M.自体も小規模を保っているため、日本人会の規模もまだそれほど大きくありません。しかし、それだけ結束力も強く、卒業生のみなさんも、弁護士事務所・企業・学界・官庁・政界といったバラエティに富んだ分野で活躍されています。今年度の合格者の方々も、弁護士事務所・企業・官庁などの御出身です。

会の場では、一人一人自己紹介とバンダービルト・ナッシュビルについての「一言」をお願いしたのですが、皆さん思い入れが強く、とても一言では収まりきれませんでした。今回初めて明かされた、2002年卒業のMさん(当日御欠席)の数々の伝説も、後世に長く語り継がれることでしょう。

個人的には、合格者Kさんの「ブログでも卒業生のお話を伺っても、みな良いことばかりなのでちょっと疑わしかったですが、きょう参加させていただいて、これなら気持ちよくだまされてみよう!という気になりました」というコメントが印象的でした。Kさん、大丈夫です、バンダービルトもナッシュビルも本当にいいところですよ!なお、あくまで客観的にということで、バンダービルト・ナッシュビルの弱点(?)について述べたこんな記事もありますので、御参照下さい。
http://vanderbilt-law-japan.blog.so-net.ne.jp/2007-02-14-1


また、参加者の全員一致で、2002年卒業のHさんが同窓会長(名誉職)として選任されました。今後はHさんのもと、一層結束力を強めていければと思っています。それでは次回は、同窓ゴルフコンペ(企画中)でお会いしましょう!



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