2014-15学期中の過ごし方 Bの場合 [受講ガイド(2014-2015)]
企業派遣で1年間LL.M.に来ました。
初の留学・海外生活という不安を抱えつつ、大きすぎない規模の大学・クラス、単身女性で車がなくても暮らしやすい街、という視点から、ナッシュビルのVanderbiltを選びました。
1. スケジュール
(1) 秋学期
| AM | PM |
Mon | 余暇 or 予習 | LL.M. Academic Writing |
Tue | 余暇 or 予習 | LL.M. Academic Writing |
Wed | Intro to Legal Research & Writing | Corporations & Business Entities |
Thu | Intro to Legal Research & Writing | 余暇 or 予習 |
Fri | Intro to Legal Research & Writing | 余暇 or 予習 |
Sat | 余暇 or 予習 | 余暇 or 予習 |
Sun | 余暇 or 予習 | 余暇 or 予習 |
(2) 春学期
| AM | PM |
Mon | Property | 余暇 or 予習 |
Tue | Property | (Pilates) |
Wed | Property | LL.M. Academic Speaking |
Thu | 余暇 or 予習 | Transnational Litigation |
Fri | 余暇 or 予習 | Transnational Litigation |
Sat | 余暇 or 予習 | 余暇 or 予習 |
Sun | 余暇 or 予習 | 余暇 or 予習 |
※上記に加え、集中講義Patent Litigation Short CourseとNegotiations Short Courseを受講しました。
2. 授業概要
(1) 授業選択について
①NY Bar受験の科目、②企業法務に関連のある科目、③英語力の補強、という視点で選択しました。
また、一週間の中の授業のバランスにも気を付けました。私は英語を読むのがあまり速くなく、予習にそれなりの時間がかかることから、授業数は必要単位最低限にし、また各科目の予習時間を取りやすいよう平日まんべんなく授業を取るようにしました。
(2) 秋学期
ア.Life of the Law(Aさんの記事をご覧ください)
イ.Legal Research and Writing(Aさんの記事をご覧ください)
ウ.Corporations & Business Entities
会社法の授業。
取締役の責任、株主の権利、M&A、LLP、LLC等を学びます。
歴史的・経済的背景とあわせて法規制を学べます。判例が長くてややこしいものが多く、予習に少々苦戦しました。
エ.Contracts
契約法の授業。
JD1年生(1L)の必修科目の一つで、LL.M.生も1Lのクラスに混じって受講しました。
人気講師Professor Georgeの授業は活気があり、生徒達も積極的で、米国ロースクールらしい授業を体験できます。教授は生徒をガンガン指名して発言させる(コールオン)ので、毎回気が抜けません。
オ.LL.M. Academic Writing
English Language Center(ELC)が提供する、LL.M.生向けの英語の授業。
3~6人の小規模クラスで、ノンネイティブが間違いやすい冠詞や前置詞の使い方や、ビジネスEメールの書き方、読みやすい文章の構成等を丁寧に教えてもらえ、個人フィードバックももらえます。授業内に時間制限つきのWriting練習ができるのも良かったです。
カ.Trademarks Short Course
裁判官による、商標法の集中講義。平日の夜と、休日を使った、連続五日間の授業です。
この授業も含め、ショートコースは読む判例の量が多く、それが連日続くので、予習がなかなか大変です。その代わり、期末試験は無く、全講義終了後に課題を提出する形なので、その分期末試験時の負担は減ります。
米国商標法の要件やコンセプトを概観することができます。有名ブランドの訴訟等、興味深い判例が多く、これらを通して商標法を学べるのでイメージしやすいです。ただテンポの速い連続集中講義のなかで、うっかり日本の商標法をベースに判例を読みそうになるので、自分で日本法との違いを常に意識しながら頭を整理する良いトレーニングになりました。
[番外編①:Contracts Study Group]
Study Groupとは、授業の理解を深めたり試験対策で協力し合ったりするための、学生同士の少人数編成グループです。予習・復習を共同で行ったり、学生ごとに担当科目や曜日を決めてノート作りを分担しシェアしあう、というやり方もあるようですが、私は他のLL.M.生と5人で実験的に、一緒にContractsの授業の復習をし、分かりづらい点を確認し合うグループとして、週一回一時間の集まりの時間を設けました。
主な流れは、軽く前週の授業内容をおさらいし、お互い分かりづらかったところを質問しあい、それでも分からないところは後で教授に質問をしに行く、というものでした。気軽に質問し合えるというだけでなく、中国人・韓国人のクラスメート混合のグループだったのでCivil Lawとの違い等を一緒に確認しながら頭を整理することができ、また英語の練習にもなりました。
[番外編②:Yoga]
Vanderbilt Dance Programが提供するダンス等のレッスン。有料で、レッスンは学内外問わず誰でも受講できますが、Vanderbiltの学生には割引があります。バレエ、ヒップホップ、アフリカンダンス等、様々なラインナップがあり、レベルも初級から上級まで色々用意されています。
私が受講したヨガの初級クラスは、ストレッチに主眼をおいたもので、Yogaド初心者の私でも無理なく体をほぐすことができました。
Vanderbilt Dance Programのホームページ⇒ http://www.vanderbilt.edu/dance/
(3) 春学期
ア.Property
1L必修科目であり、NY Bar受験科目でもあります。Contracts同様、LL.M.生も1Lのクラスに混じって受講しました。1Lの授業らしく、生徒をランダムに指名し回答させるコールオンがあり、気が抜けません。
日本法では分かりづらいコンセプトも多く、NY Bar対策の一部としても事前に受講しておく意義があるかと思います。
イ.Professional Responsibility
NY Barの受験に必須の、法曹倫理についての授業。
実際のケースを交えつつ、法曹倫理を学びます。
ウ.Transnational Litigation
日本法研究で著名なProfessor Haleyによる国際間訴訟に関する授業。
米国・カナダ・EU・日本の間の訴訟判例を通じて、各国法の共通点・相違点や、各国での条約の取り扱い等を学びます。米国のCivil Procedureも同時に一部学べます。企業法務にも大いに関連する分野で、複雑ですがとても興味深いです。日本の民事訴訟法や判例を英文で読むというのも貴重な体験です。
エ.Academic Speaking
English Language Center(ELC)が提供する、LL.M.生向けの英語の授業。
ラジオのニュース音源でリスニングのトレーニングをしたり、プレゼンテーション等を通じ、発音、抑揚、強弱のつけ方等を練習したりします。スピーキングに関しては、インストラクターから個人フィードバックを受けられます。米国の法や制度、国際的なテーマ等、ホットトピックを多く取扱い、留学生同士で意見交換ができるのも面白いです。
オ.Patent Litigation Short Course
裁判官による、特許訴訟に関する集中講義。平日の夜と、休日を使った、連続六日間の授業です。
他のショートコース同様、読む判例の量がかなり多く、授業の進み具合も速いです。裁判管轄や訴訟手続き等も多く取り上げており、Civil Procedureを勉強していない者としてはなかなかハードでしたが、短期間で特許の重要判例をさらうことができます。
カ.Negotiations Short Course
効果的な交渉の仕方について、主にシミュレーションを通して学びます。
他のショートコースとは違い、大量の判例の予習は無く、その代わり授業での積極的な参加が求められます。具体的には、ランダムに決められた生徒同士で、毎日2つずつの交渉シミュレーション(ロールプレイング)を行います。シミュレーション時には、自分のロールの情報・前提が書かれた紙のみを受け取り、お互い自分の情報・前提は相手に開示しないまま、より良い結果を目指して短時間の交渉を行います。交渉相手は毎回変わるので、色々な学生と交流することもでき、とても面白い授業でした。
[番外編①:Pilates]
秋学期同様、Vanderbilt Dance Program提供の有料レッスン。
春学期にはピラティス初級クラスを試してみました。バレエの先生らしきインストラクターのもと、地味に見えながら体感を鍛える動き・ポーズにじんわりと良い汗をかきます。
自分でジムに行ったりスポーツをしたりするのがちょっと苦手、という方にもおすすめです。
Vanderbilt Dance Programのホームページ⇒ http://www.vanderbilt.edu/dance/