2013秋学期の過ごし方 Aの場合 [受講ガイド(2013-2014)]
1年間という限られた時間の中で、できるだけ少人数で切磋琢磨しながら、落ち着いて勉学に・社会勉強に集中できる場所として、Vanderbilt(Vandy)を選びました。
1.秋学期のスケジュール
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AM |
PM |
Mon |
Law of Cyberspace | |
Tue |
Pronunciation | |
Wed |
Introduction to Legal Research, Writing and Analysis in the U.S. |
Life of the Law (for LL.M.) Introduction to Accounting |
Thu |
Introduction to Legal Research, Writing and Analysis in the U.S. |
LL.M. Academic Writing Pronunciation |
Fri |
Introduction to Legal Research, Writing and Analysis in the U.S. | |
Sat |
余暇 or 予習 |
余暇 or 予習 |
Sun |
余暇 or 予習 |
余暇 or 予習 |
この他 Corporate Governance and Controlと、Corporate Law in the E.U.というそれぞれ1週間のショートコースを2つ受講しました。いずれも授業終了の1週間後くらいに試験がありました。
2.秋学期に履修した科目の概要
秋学期は①必修科目かつNYBar受験に必要な科目、②NYBar受験に一定の単位が必要な科目、③自分の興味、④英語力の補強という4つの軸で選びました。秋学期の場合、ほとんどの学生は①と②でいっぱいになってしまうので、なかなか選択の自由度はありません。
また、多くの学生はContractsという基本科目(②に相当)を選択しますが、そうするとますます自由度がなくなるため、私の場合はあえて取りませんでした。
―― なお、②の充足のためにSecured Transactionsを、そのほか必修ではないがNYBar受験には必要なProfessional Responsibilityを、それぞれ春学期に受講予定。
(1)Life of the Law (for LL.M.) ①
授業が始まる最初の1週間に集中して、米国法の基礎や歴史、権力分立の仕組みや米国独特の裁判管轄等について学習します。クラスはLL.M.生に限定されているので、いろいろな国・バックグラウンドの友人をさっそく作るのにもってこいです。その後は週1回のペースで授業があり、さまざまな分野のゲストスピーカーを招いての講演が多く組まれ、学生を飽きさせないよう工夫されていました。
―― なお、JD1年生(いわゆる1L)も最初の1週間は別クラスで同様の授業を受け、5日目に試験を受けていましたが、今年のLL.M.生は11月の最終授業時に試験を受けました(年によってLL.M.生の扱いは異なるようです)。
(2)Introduction to Legal Research, Writing and Analysis in the U.S. (for LL.M.) ①
秋学期の中で最も時間を取られた科目です。Research週1回、Writing週2回の授業を基本として、学期中計7回、判例検索や模擬オフィスメモなど、課題の提出を求められました。10月はほぼ毎週何らかの提出課題がありました。クラスはLL.M.生限定・1クラス10数名と少人数で、アットホームな雰囲気の授業の反面、citationなど、米国独特の作法に戸惑う場面も多かったです。
(3)Corporations ②
ビジネス法の基本科目ということもあり、JD(主に2L)とLL.M.の合計100名を超える大授業。取締役責任(代理)やM&Aにかなりの時間を割いていましたが、LPやLLC、閉鎖会社などの米国独特の事業形態にも触れていました。
(4)Law of Cyberspace ③
地元ナッシュビルで実際に電子契約等の専門弁護士として活躍する実務家による講義。電子契約・署名、クラウドにおける法的論点の検討のほか、連邦検事や専門コンサルタントなどゲストスピーカーによる講演も目玉で、当該分野における最新の論点や話題を学ぶことができました。
(5)Introduction to Accounting ③
地元ナッシュビルの会計事務所パートナーによる講義。会計の目的から勘定科目、財務分析まで、英語で知識を蓄えることができるため、ビジネス法・金融規制関連の授業時に大いに役立ちます。不正会計したらどうなるのかなど、実務家ならではの視点は新鮮。授業中はPowerpointを用い、授業後にすべてメール配付してもらえるのもnon-nativeにはありがたかったです。ただ、持込み不可の中間試験(finalも)やグループ発表など、学期中の負担はやや大きめか。
(6)Corporate Governance and Control(ショートコース)③
米国会社法の聖地、デラウェア州の現役判事が自身も関わった有名な判例を自ら解説するという、貴重な講義。後々Corporationsの授業で扱う有名判例を、事前に整理できるという意味でも非常に有意義。ただ、授業当時はまだ速い英語に慣れておらず、聞取りには一苦労。
(7)Corporate Law in the E.U.(ショートコース)③
EU会社法の概略・主要な判例をトルコの大学に在籍するトルコ人教授が教えるという、一風変わった設定の授業。教授自身はオランダで英語のLL.M.を取得された方で、non-nativeということもあり、非常に聞き取りやすい英語を心掛けてくださったため、助かりました。ショートコースにありがちなとんでもない量の読書課題にはやや辟易しましたが、まったくの素人が手っ取り早く比較法の視点を手に入れるのにおすすめです。
(8)LL.M. Academic Writing ④
VandyのEnglish Language Center(ELC)が提供する、LL.M.生向けの英語の授業です。秋学期はwriting中心で、法律英語からビジネスEメールの書き方、相手方弁護士への説得的な英文の書き方、ロースクール試験突破法まで、多岐にわたるin-class assignmentで学期中から制限時間内に英文でのアウトプットを行う機会を得られた点で、有意義でした。
―― 春学期はspeakingに重点を置く予定とのこと。
(9)Pronunciation ④
ELCがVandyの外国人留学生・研究員向けに提供する発音の授業。LL.M.生は(8)のほか、無料でもう1科目ELCの授業を取ることができます。学期中、5回程度プレゼンの機会があるほか、授業中も学生同士での会話の機会が多く、LL.M.生以外の友人を作るチャンスです。
―― このほか、ELCはAcademic Writing、Academic Speakingなどの授業を開講。
3.ナッシュビルの生活
治安も気候もよく、地元の方も非常に親切です。先日もドライブ中に地図を見たくて路肩に寄せたら、後続車が横に止まって、「何があった!?大丈夫かい??」と、見ず知らずの人間にも気さくに声を掛けてくれました。
(1)First Friend Program
以前にも記載があるとおり、留学生に興味のある地元ボランティアの家族を紹介してくれるものです。
私は妻と離れて一人暮らしのため、なるべく動きやすい家族を紹介してもらいたくて、「子供なし」の家族を希望しました。その結果、旦那さんが元銀行マン、奥様が元教師で、お子さまがすべて独立された年長のご夫婦を紹介してもらい、一緒にアイスホッケーの試合を見に行ったり、家に招いてもらって南部料理を食べながらフットボールTV観戦したりするなど、米国文化を身近に感じさせてもらっています。
(2)生活するには車の購入が必要か?
個人的な結論としては、「車の購入の必要はない」が、「運転はできた方がよい」です。私自身は車を購入せず、学生料金で割安に利用できるカーシェアを活用しながら、時たま車でやや遠くまで買い物に行ったり、映画を見に行ったりしています。なお、現地で取得できる運転免許証は、酒類の購入時や飲酒時に必ず提示を求められる(バーに至ってはバーに入るだけでも必要!)ので、いちいちパスポートを持ち歩くのを避けるためにも早い時期に取得した方がよいと思います。
(3)日本食が食べられない!?
そんなことはありません。昨今の日本食ブームの流れはここナッシュビルでも同様で、やや値段は張りますが、お寿司などの日本食を味わうことは十分可能です。また、アジア系食材店も充実しており、醤油などの調味料や納豆も手に入ります。個人的に食で困っているのは、レトルトカレーの値段が高い(1食$3~4)のと、中辛の焼き肉のタレが手に入りにくい(甘口はあります笑)、ということでしょうか。
(4)娯楽が少ない!?
これも間違いです。Music Cityの異名をとるナッシュビルでは、夜中まで生演奏が響き渡る賑やかなダウンタウンのほか、全米で最も息の長いラジオ・コンサートの公開収録「Grand Ole Opry」を毎週見学することができます。また、NFL(アメフト)やNHL(アイスホッケー)といったプロスポーツのトップリーグの試合も楽しむことができますし、少し足を伸ばせば、世界一の大きさを誇る洞窟マンモスケーブや自然豊かなチャタヌーガといった、大都会では味わえない米国を堪能することができます。