週替わり日記2009春学期 その1 Kの場合 [週替わり日記(2008-2009)]
こんにちは。Kです。
冬休み明け直後のAdd&Drop期間(学期最初の1週間でどの授業を登録するか決めます)、秋学期の成績発表、そしてオバマ大統領の就任式(当然学生生活には直接的には影響はありませんが、就任式の行われた1月20日は、少なくとも私の受講している2科目は教授が就任式を見に行ったのか、休講でした。)等と何かと気ぜわしい学期のスタートでしたが、そろそろ通常のペースになってきました。
1. 秋学期の振り返り
授業・教授によっては授業内でのディスカッションやレポート提出、中間試験も成績評価の一部とされることもあるようですが、ロースクールの大半の授業では期末試験の一発勝負で成績が決められます。ここで簡単にVanderbilt law schoolでの試験について紹介したいと思います。
形式は、普通に教室で受験する試験と試験問題を事務局で入手して家で受験するTake homeの試験があります。さらに、前者はノートやテキスト等の持ち込みが許されるOpen book形式と、持ち込みが一切認められないClosed book形式のものがあります。(Take home examは必然的にOpen bookになります。)
英語を母国語としないLL.M.については、受験時間が1.5倍になる、Closed bookでも辞書の持ち込みが許される(電子辞書は不可で書籍に限定されます。また、『英米法辞典』のような法律英語に特化した専門的な辞書は不可で、一般的な語彙が掲載されている英和・和英辞典のみ可とされます。)、といった措置が取られます。
私が受講した科目の中で一番試験時間が長かったものはContractsの4時間(したがってLL.M.は1.5倍の6時間)。飲食物持ち込み可なので、教室におにぎりとバナナを持ち込んで試験中に空腹を満たしました。
受験前は6時間の試験なんて集中力も体力ももたないのではないかと思っていましたが、いざ受験してみると答案に書かなければならないこと、書きたいことがとても多く、試験時間が余るということはありませんでした。受験後には疲労感で一杯になってしまいました。(残念ながら達成感・満足感は全くなしでした。)
私の受験していない科目では元々の試験時間が6時間・8時間(したがってLL.M.は9時間・12時間受験)といった試験もあったようです。
試験内容は、Essayのみ・Multiple choiceのみ・両者の混合、と様々なパターンがあります。OpenがCloseか、EssayかMultiple choiceか等、試験の情報は受験科目を決める最初の授業で教授から説明されるので、授業登録の際には参考にされた方がいいと思います。
個人的にはMultiple choiceは部分点がない怖さがあるので、Essayタイプの方が好きです。ただ、英語の表現力、タイプするスピードで圧倒的にネイティブに比べて不利なことは否めませんでした。
試験期間の1~2週間前から、学校全体が試験モードになり、図書館だけでなく授業で使っていない教室が24時間解放されるようになったり、コーヒーやドーナツが大学から提供されたりします。
2. 週間スケジュール
その他、2月下旬に1週間の集中講義のCorporate Governanceを受講予定です。
私は図書館で勉強するよりも家で勉強する方が好きなタイプなので、授業がある曜日を固めて、大学に行かないで済む曜日を設定できたのは良かったかなと思っています。
3. 授業の様子
(1) Secured Transactions
動産担保法の授業で、UCC Article9を勉強しています。
完全な制定法の科目で、caseを読むことよりもUCCの条文を細かく読み込むことが求められますので、内容の理解度はともかく、勉強のスタンスとしては日本の法律を勉強するのと同じ感覚で取り組みやすいかなと感じています。
教授はシカゴの弁護士の方で、メリハリを持って話される方なので分かりやすいと思います。
(2) Securities Regulation
証券取引法の授業。
これも完全に制定法やSECの規則の条文、SECのアナウンスメント等を読み込むことが求められます。1933年の証券法・1934年の証券取引所法がメインですが、時代の流れに即して頻繁に改正が重ねられたりSECによる条文の解釈が度々変更されていたりと、かなり複雑な法体系になっていて、条文を理解するのに時間がかかってしまっています。
(3) Insurance Law
全体で20人弱しか受講しておらず(LL.M.は私だけ)、1回目の授業では受講生全員が自己紹介をするというアットホームな感じの授業です。
授業は、caseのディスカッションが中心となっています。
(4) Professional and Ethical Considerations in Corporate Practice
アメリカのロースクールでは、弁護士になるにあたっての職業倫理を学ぶProfessional Responsibilityという科目がJDでは必須科目とされていますが、この授業はその企業法務に就く弁護士に特化した内容という感じです。
私は弁護士ではなく企業派遣なので直接的には関係なさそうにも思えますが、会社で社外弁護士の方に案件を依頼する際や、法務部門で働く際の社内の他の部門との関わり方などに役立てられるかなと思い受講しています。
教授は地元ナッシュビルの弁護士で、2008年の大統領選と同時に行われた連邦上院選でテネシー州の民主党候補として立候補したそうです(結果は共和党候補に敗れたそうですが)。政治家を目指したことのある人だけあって、授業も何か政治家のスピーチを聞いているようです。
(5) LL.M. English
秋学期に引き続き英語の授業を受けています。単位等には全く関係なくて、自由参加の授業です。
今はタイ人の学生2人と、N.Mさんと私の日本人学生2人の計4人でメンバーが固定化されてきました。
特定テーマや時事ネタをディスカッションするなど、最近は会話を中心に授業をしてもらっています。
4. 学校外生活
1) 娯楽
娯楽の少ないナッシュビルですが、休みの日には近くのゴルフ場に行ったり、近場の観光地までドライブをしたりして楽しんでします。
【Mammoth Cave】
お隣のケンタッキー州にある国立公園。世界最長の洞窟らしいです。Nashvilleから車で2時間くらいです。
【Hot Springs】
こちらはアーカンソー州にある国立公園。ナッシュビルからは車で6時間程度かかるので、日帰りは厳しいです。
その名の通り、温泉で有名な観光地で、クリントン元大統領の出身地です。観光地と言っても人は少なくてものすごくのんびりした雰囲気でした。
温泉といっても、日本のように大浴場にみんなで浸かる訳ではなく、個人ごとに50~60分のコースで個々に仕切られたバスタブに入る→サウナに入る→ベンチで横になり蒸しタオルをかけてもらいゆっくりと寝る、といった感じです。
大きな浴槽でお湯に浸かれなかったのは残念でしたが、アメリカ式の温泉を経験できたのでよかっです。
その他、サンクスギビングの週に1週間の秋休みにはフロリダ・オーランドのディズニーワールド、期末試験終了後の冬休みにはフロリダのマイアミに旅行してきました。ナッシュビルからオーランドやマイアミには飛行機で2時間程度ですので旅行がしやすいです。
また、先日はセリーヌ・ディオンの世界ツアーがここナッシュビルでも開催され、コンサートを観に行ってきました。たまにはこのような世界的な有名人もナッシュビルに来ることもあるようです。
2) 日常生活
i)治安
場所によるのでしょうが、少なくとも私自身は身に危険を感じたことはありませんし、周りから治安が悪いという話はほとんど聞きません。治安は良くて過ごしやすい街だと思います。
ⅱ)気候
ここ数週間は、アメリカ全体が歴史的な寒気に襲われ、ナッシュビルでも最高でも氷点下以下、最低で-10℃以下と寒い日が続き、先日は私がナッシュビルに来て以来初の雪が降りました。しかし雪は積もらず、また吹雪くこともないので何とか耐えられるかなと思っています。
冬の気温以外は四季を通じて東京・大阪と似た気候なので、日本人にとっては過ごしやすい土地と言えると思います。
ⅲ)日本料理・日本食材
ナッシュビル近郊には多くの日本企業が進出していることもあり、私が想像していた以上に日本人が多く、日本料理店や日本食材店も数多くありますので、和食に困ることはありません。
(JALやANAが乗り入れているNYのJFK空港やシカゴのO’Hare空港ですら日本語の案内は見かけませんが、ここナッシュビル空港では日本語の表示がなされています。「Security」を「安全」と訳してあったりして多少の違和感はありますが・・・)
冬休み明け直後のAdd&Drop期間(学期最初の1週間でどの授業を登録するか決めます)、秋学期の成績発表、そしてオバマ大統領の就任式(当然学生生活には直接的には影響はありませんが、就任式の行われた1月20日は、少なくとも私の受講している2科目は教授が就任式を見に行ったのか、休講でした。)等と何かと気ぜわしい学期のスタートでしたが、そろそろ通常のペースになってきました。
1. 秋学期の振り返り
授業・教授によっては授業内でのディスカッションやレポート提出、中間試験も成績評価の一部とされることもあるようですが、ロースクールの大半の授業では期末試験の一発勝負で成績が決められます。ここで簡単にVanderbilt law schoolでの試験について紹介したいと思います。
形式は、普通に教室で受験する試験と試験問題を事務局で入手して家で受験するTake homeの試験があります。さらに、前者はノートやテキスト等の持ち込みが許されるOpen book形式と、持ち込みが一切認められないClosed book形式のものがあります。(Take home examは必然的にOpen bookになります。)
英語を母国語としないLL.M.については、受験時間が1.5倍になる、Closed bookでも辞書の持ち込みが許される(電子辞書は不可で書籍に限定されます。また、『英米法辞典』のような法律英語に特化した専門的な辞書は不可で、一般的な語彙が掲載されている英和・和英辞典のみ可とされます。)、といった措置が取られます。
私が受講した科目の中で一番試験時間が長かったものはContractsの4時間(したがってLL.M.は1.5倍の6時間)。飲食物持ち込み可なので、教室におにぎりとバナナを持ち込んで試験中に空腹を満たしました。
受験前は6時間の試験なんて集中力も体力ももたないのではないかと思っていましたが、いざ受験してみると答案に書かなければならないこと、書きたいことがとても多く、試験時間が余るということはありませんでした。受験後には疲労感で一杯になってしまいました。(残念ながら達成感・満足感は全くなしでした。)
私の受験していない科目では元々の試験時間が6時間・8時間(したがってLL.M.は9時間・12時間受験)といった試験もあったようです。
試験内容は、Essayのみ・Multiple choiceのみ・両者の混合、と様々なパターンがあります。OpenがCloseか、EssayかMultiple choiceか等、試験の情報は受験科目を決める最初の授業で教授から説明されるので、授業登録の際には参考にされた方がいいと思います。
個人的にはMultiple choiceは部分点がない怖さがあるので、Essayタイプの方が好きです。ただ、英語の表現力、タイプするスピードで圧倒的にネイティブに比べて不利なことは否めませんでした。
試験期間の1~2週間前から、学校全体が試験モードになり、図書館だけでなく授業で使っていない教室が24時間解放されるようになったり、コーヒーやドーナツが大学から提供されたりします。
2. 週間スケジュール
|
AM | PM |
Mon | ・Secured Transactions ・Securities Regulation | ・Insurance Law ・LL.M. English |
Tue | ・Secured Transactions ・Securities Regulation | ・LL.M. English |
Wed | Free | 自習 |
Thu | 自習 | ・Professional and Ethical Considerations in Corporate Practice |
Fri | 自習 | 自習 |
Sat | Free | Free |
Sun | 自習 | 自習 |
その他、2月下旬に1週間の集中講義のCorporate Governanceを受講予定です。
私は図書館で勉強するよりも家で勉強する方が好きなタイプなので、授業がある曜日を固めて、大学に行かないで済む曜日を設定できたのは良かったかなと思っています。
3. 授業の様子
(1) Secured Transactions
動産担保法の授業で、UCC Article9を勉強しています。
完全な制定法の科目で、caseを読むことよりもUCCの条文を細かく読み込むことが求められますので、内容の理解度はともかく、勉強のスタンスとしては日本の法律を勉強するのと同じ感覚で取り組みやすいかなと感じています。
教授はシカゴの弁護士の方で、メリハリを持って話される方なので分かりやすいと思います。
(2) Securities Regulation
証券取引法の授業。
これも完全に制定法やSECの規則の条文、SECのアナウンスメント等を読み込むことが求められます。1933年の証券法・1934年の証券取引所法がメインですが、時代の流れに即して頻繁に改正が重ねられたりSECによる条文の解釈が度々変更されていたりと、かなり複雑な法体系になっていて、条文を理解するのに時間がかかってしまっています。
(3) Insurance Law
全体で20人弱しか受講しておらず(LL.M.は私だけ)、1回目の授業では受講生全員が自己紹介をするというアットホームな感じの授業です。
授業は、caseのディスカッションが中心となっています。
(4) Professional and Ethical Considerations in Corporate Practice
アメリカのロースクールでは、弁護士になるにあたっての職業倫理を学ぶProfessional Responsibilityという科目がJDでは必須科目とされていますが、この授業はその企業法務に就く弁護士に特化した内容という感じです。
私は弁護士ではなく企業派遣なので直接的には関係なさそうにも思えますが、会社で社外弁護士の方に案件を依頼する際や、法務部門で働く際の社内の他の部門との関わり方などに役立てられるかなと思い受講しています。
教授は地元ナッシュビルの弁護士で、2008年の大統領選と同時に行われた連邦上院選でテネシー州の民主党候補として立候補したそうです(結果は共和党候補に敗れたそうですが)。政治家を目指したことのある人だけあって、授業も何か政治家のスピーチを聞いているようです。
(5) LL.M. English
秋学期に引き続き英語の授業を受けています。単位等には全く関係なくて、自由参加の授業です。
今はタイ人の学生2人と、N.Mさんと私の日本人学生2人の計4人でメンバーが固定化されてきました。
特定テーマや時事ネタをディスカッションするなど、最近は会話を中心に授業をしてもらっています。
4. 学校外生活
1) 娯楽
娯楽の少ないナッシュビルですが、休みの日には近くのゴルフ場に行ったり、近場の観光地までドライブをしたりして楽しんでします。
【Mammoth Cave】
お隣のケンタッキー州にある国立公園。世界最長の洞窟らしいです。Nashvilleから車で2時間くらいです。
【Hot Springs】
こちらはアーカンソー州にある国立公園。ナッシュビルからは車で6時間程度かかるので、日帰りは厳しいです。
その名の通り、温泉で有名な観光地で、クリントン元大統領の出身地です。観光地と言っても人は少なくてものすごくのんびりした雰囲気でした。
温泉といっても、日本のように大浴場にみんなで浸かる訳ではなく、個人ごとに50~60分のコースで個々に仕切られたバスタブに入る→サウナに入る→ベンチで横になり蒸しタオルをかけてもらいゆっくりと寝る、といった感じです。
大きな浴槽でお湯に浸かれなかったのは残念でしたが、アメリカ式の温泉を経験できたのでよかっです。
その他、サンクスギビングの週に1週間の秋休みにはフロリダ・オーランドのディズニーワールド、期末試験終了後の冬休みにはフロリダのマイアミに旅行してきました。ナッシュビルからオーランドやマイアミには飛行機で2時間程度ですので旅行がしやすいです。
また、先日はセリーヌ・ディオンの世界ツアーがここナッシュビルでも開催され、コンサートを観に行ってきました。たまにはこのような世界的な有名人もナッシュビルに来ることもあるようです。
2) 日常生活
i)治安
場所によるのでしょうが、少なくとも私自身は身に危険を感じたことはありませんし、周りから治安が悪いという話はほとんど聞きません。治安は良くて過ごしやすい街だと思います。
ⅱ)気候
ここ数週間は、アメリカ全体が歴史的な寒気に襲われ、ナッシュビルでも最高でも氷点下以下、最低で-10℃以下と寒い日が続き、先日は私がナッシュビルに来て以来初の雪が降りました。しかし雪は積もらず、また吹雪くこともないので何とか耐えられるかなと思っています。
冬の気温以外は四季を通じて東京・大阪と似た気候なので、日本人にとっては過ごしやすい土地と言えると思います。
ⅲ)日本料理・日本食材
ナッシュビル近郊には多くの日本企業が進出していることもあり、私が想像していた以上に日本人が多く、日本料理店や日本食材店も数多くありますので、和食に困ることはありません。
(JALやANAが乗り入れているNYのJFK空港やシカゴのO’Hare空港ですら日本語の案内は見かけませんが、ここナッシュビル空港では日本語の表示がなされています。「Security」を「安全」と訳してあったりして多少の違和感はありますが・・・)