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週替わり日記2008秋学期 その1 H.T.の場合 [週替わり日記(2008-2009)]

 ご無沙汰しております。ロースクール2年目のH.T.です。
 LL.M.で2年目というと少し不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、バンダービルトロースクールでは、Law and Business ProgramというLL.M.の2年目向けのコースがあり、私も同プログラムを履修するため、今学期も在籍しています(私の場合は秋学期でLaw and Business Programを修了する予定で、修了するとCertificateがもらえます)。
 今年の秋学期は1年目のように授業についていくだけで精一杯という状況もなく、勉強をしていることに充実感を感じることも多くなり、ロースクールでの勉強が楽しいと思えるようになってきました。

1.秋学期の週間スケジュール

2008秋学期スケジュール(HT).jpg

2.授業の様子

 今学期はM&Aと独禁法を主に勉強したいと考え、ロースクールの科目である「経済規制と独占禁止法」、ショートコース(「EU競争法」、「商標法」)のほか、Owenビジネススクールとの合同授業である「M&Aの法とファイナンス」及びOwenビジネススクールの科目である「中小企業のマネジメント」を受講しており、合計10単位を登録しました。
 バンダービルトロースクールでは、ロースクールの科目以外にもOwenビジネススクールのファイナンスやマネジメント関連科目の一部を受講して卒業単位に換算することができ、もちろんLaw and Business Programの認定単位にもなっています。

 「M&Aの法とファイナンス」と「中小企業のマネジメント」の両授業では、ひたすらケースブックと格闘するというロースクールの勉強スタイルとは違い、クラスディスカッションやグループワークなどのビジネススクールのメソッドで授業が進められていくので、ロースクールとは一味違った経験をすることができます。また、ロースクールとビジネススクールの学生の態度や授業の方法を比較してみて、双方が大きく違っていることに気付かされます。ロースクールでは宿題として出される膨大なケースブックを読んで授業に臨み、授業中は多くの学生がひたすらノートをとることに集中します。また、時々教授から指名され、回答しなければならないこともあります。ロースクールでの成績評価は、授業中の発言を加点する場合はあるものの、期末試験で一発勝負ということが多いです。一方ビジネススクールでは、グループワークや授業中の発言が成績に占める割合が高く(試験の割合は相対的に低いようです)、クラスでは積極的に発言をする学生が多いです(授業はスライドや配布資料を使って行われることが多く、ノートテーキングはあまり必要ないようです)。さらに、ロースクールの場合はほとんどが個人で勉強を進めるのに対し、ビジネススクールではグループに対して宿題が出されることが多く、週末はグループで集まって一緒に課題を完成させるのが一般的です(誰とチームを組むのかが大きなポイントになるようです)。
 
 特に私が受講している「M&Aの法とファイナンス」ではロースクールとビジネススクールの共同授業であることから、双方の学生の違いが顕著に現れており、授業中もビジネススクールの学生は積極的に手を上げて発言する一方、ロースクールの学生はあまり発言せず、ノートテーキングに励んでいる学生も多く、学生の資質も大きく違っているのだと実感しています。
 私について言えば、「M&Aの法とファイナンス」では履修の前提としてファイナンスと会社法の知識が求められており、ビジネススクールから参加している学生はファイナンス専攻の学生が多いことから、ミーティングでファイナンスの議論が始まるとついていくのは大変で、毎週末のミーティングの準備にはかなりの時間をかけています。
 また、渡米から1年が経過して英語力はかなり上達したものの、チームミーティングなどでアメリカ人と対等に議論ができるレベルには至っていないと感じており、単位には換算されませんが、英語力の更なる向上のためELC(Vanderbilt English Language Center)の上級英会話のクラスを受講しています。ELCでは、留学生のためのさまざまな英語プログラム(LL.M. のサマースクール、LL.M. English等)を用意しており、特別なプログラム以外の通常のコースについても、バンダービルトの学生は1科目までは無料で受講することができます。
 
 今学期は通常のロースクールの授業に加えビジネススクールの授業を受講することで、今までとは違った経験をすることができ、自分にとっても新たな成長の機会を見つけることができたことにとても満足しているところです。

3.学校外生活
 
 ナッシュビルでの生活も2年目に入り、アメリカ生活に対する新鮮味は薄れましたが、安定した毎日を過ごすことができています。
 週末の主な過ごし方としては、買い物や食事会などのほか、最近はカントリーミュージックを中心とした音楽のライブを見に行く、若しくはゴルフをするということが多いです。
 ナッシュビルは「ミュージックシティ」と言われているだけあって、音楽のライブやイベントなどが盛んに開催されており、ライブを探して見に行くのはナッシュビルならではの楽しみだと思っています。ゴルフについては、練習場やゴルフ場が近郊にたくさんあり、9ホールであれば予約なしでも10ドルほどで回れますので、少し暇を見つけるとクラスメートや日本人の友人とともによく出かけています。
 
 また、長距離ドライブにも慣れてきましたので、週末などを利用して遠出することもあります。ナッシュビルから1泊2日程度で行ける場所としては、メンフィス(片道約3時間)、アトランタ(片道約4時間)、グレートスモーキーマウンテン国立公園(片道約4時間)、シンシナティ(片道約5時間)、インディアナポリス(片道約5時間)といったあたりになりますが、先日はメジャーリーグ観戦を兼ねて1泊2日の日程でセントルイスに行ってきましたので、その模様をお伝えしたいと思います。
 セントルイスはナッシュビルから車で片道約5時間ほどで、距離にすると500キロほどありますので日本の感覚ではかなり遠いのですが、アメリカで片道5時間といえば、「近い」範囲に入ります。セントルイスにはナッシュビルから高速道路を北西に向かってひたすら走り、途中ケンタッキー州とイリノイ州を通過して行きますが、高速道路の制限速度は65~70マイル(時速約105~113キロ)で、道幅も広く交通量も少ないので快適に運転できます(ただし、ひたすら運転し続ける必要があります)。朝早くナッシュビルを出発すれば、昼ごろにはセントルイス市街に到着することができます。

セントルイス道中.JPG

 セントルイスでは、1日目はメジャーリーグ観戦とゲートウェイアーチの見学、2日目はバドワイザーの工場見学をしたほか、ワシントン大学に立ち寄りました。
 メジャーリーグはカーディナルス対ダイヤモンドバックスの試合を観戦し、炎天下の中でのデーゲームでしたが、幸いにも打撃戦でホームランもたくさん飛び出し、とてもよい試合でした。

ブッシュスタジアム(セントルイス).JPG

 試合後は球場のすぐ近くにあるゲートウェイアーチを見学しました。ゲートウェイアーチはセントルイスのシンボルにもなっているのですが、1965年に建てられたものにもかかわらず(日本人の感覚ではそう古くないかと思います)、既にナショナルメモリアルになっており、歴史の浅いアメリカでは文化財に対する考え方も日本とは異なるようです。

ゲートウェイアーチ.JPG

 2日目は朝から市内にあるバドワイザーの工場を見学しました。バドワイザーを製造しているアンハイザーブッシュ社はセントルイスに本社があり、工場見学は予約なしで無料で参加できます(所要時間は1時間半ほどです)。また、見学の最後には無料でバドワイザーが試飲できますが、工場自体が基本的に車で行かなければならない場所にあるにもかかわらず、見学に来た人の多くは普通に試飲しています(私の場合は妻に運転を任せて心置きなく試飲しました)。実際、ナッシュビルのアメリカ人にもレストランでとりあえず食事の最初にビールやワインを飲み、少し酔いを醒ましてから運転して帰る人が多く、車社会であるアメリカではやむを得ないという感覚なのだと思います(運転免許試験でも「ビールを3本飲むと3時間以上休む必要がある」というのが答えになっているほどです)。

バドワイザー工場.JPG

バドワイザー工場見学.JPG

 その後は同市内にあるワシントン大学に立ち寄りました。ワシントン大学はロースクールを出願した際に合格通知をいただいたものの、結局進学しなかったのでどんなところか少し興味がありました。キャンパスはセントルイスの中心から少し西に行ったところにあり、付近には大きな公園があってとても緑豊かです。また、キャンパスはレンガ造りで統一されていてとても美しく、中西部の名門と呼ばれるにふさわしい雰囲気を醸し出しています。せっかくなのでロースクールも少し覗いてみましたが、建物自体は重厚であるものの、中は新しくとても快適そうです。

ワシントン大学.JPG

ワシントン大学ロースクール.JPG

 私がロースクールに出願したときにはキャンパスビジットは全くしなかったので、人から聞いた話やインターネット上の情報を頼りにしていたのですが、「百聞は一見にしかず」というとおり実際キャンパスを訪れてみて、どんな雰囲気の大学で、周りに何があってどんな生活ができるのかといったことを自分の目で確かめるということが非常に大事だということを改めて感じました。
 
 今回の旅は1泊2日でしたが、セントルイスの見どころを概ね見ることができ、とても満足することができました。しかしながら、自宅に帰ってからは宿題の山が待っており、疲れた体に鞭打って深夜までかかって宿題をなんとか終わらせました。ロースクールでは勉強との兼ね合いでなかなか遠出するチャンスはないかもしれませんが、たまには思い切って遠くに出かけてみると、新たな発見や経験をすることができるのではないかと思います。

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